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7-12歳(学習・進路編)
<学習について>
<質問1>漢字学習について
小学1年の子をもつ母親です。漢字の学習が始まりました。これからどんどん習う漢字が増えていきますが、興味をもって学習し、しっかりと習得していってほしいと思っています。どのように勉強させていくとよいですか。
<回答1>
漢字を習得していくには、まず、漢字が読めることが大事です。漢字を学ぶ際に、その漢字が「はじめて見る漢字」ではなく、「読める漢字」「よく見る漢字」であれば、より習得しやすくなります。そのために、普段から本や新聞を読むなど、漢字を読む、見る機会を増やしていくとよいと思われます。小学1年とのことですので、親子で一緒に読むのもよいですね。また、漢字学習でよく使われる漢字ドリルを音読させることもお勧めです。
次に、漢字を書かせる際には、お手本をよく見て真似して書かせることがポイントです。「よく見る」ために、字の長さを比較させる言葉がけがお勧めです。「一番上と一番下はどちらが長い?」などと問いかけると子どもは長短のバランスを意識するようになり、漢字を正確に書こうとします。この長短のバランスに加え、とめ、はね、はらいを意識させることで、「よく見て」漢字を書くようになり、習得につながります。
習った漢字は連絡帳や日記などでも、どんどん書かせるとよいでしょう。そして、書けていることを大いに褒め、更なる学習意欲を引き出してあげてください。
<質問2>算数の「時刻と時間」の勉強がわかりません。
小学3年生の男子です。算数の「時刻と時間」の勉強がわからないみたいです。「今、6時45分です。2時間30分後は、何時何分ですか」という問題や、「今、6時45分です。7時30分に学校に出発します。あと何分後に出発しますか」という問題がわかりません。どうすればよいですか。
<回答2>
まず、「時刻と時間」という意味の違いを教えてあげる必要があります。「時刻」とは「何時何分」、「時間」とは「何時間何分」といった具合です。砂時計を見せて、この時間が1分間とか、ストップウォッチで30秒間とか、時間の概念を理解してもらうことが大切です。「間」とついていると時間を表しているのがわかりやすいのですが、つまずくのは、30分かかるとか、50mのタイムは9秒とか、「間」を省略することが多いので、小さい子と話すときは、「間」をつけて話してあげると良いでしょう。
また、最近、デジタル時計を使用している家庭が多く、日常生活の中で、時計を見ながら時間の計算をすることができなくなっています。時計は、短い針が12進法で、長い針が60進法、10進法をようやく理解してくる低学年の児童にとって、この「時刻と時間」の勉強はかなり難しいです。お子様のためにも、大きな文字盤の時計をリビングに取り付けお子様が嫌がらない程度に質問形式で、身につけてもらうのが良いと思います。
さらに、生活の中で、「10分前」とか「10分後」、「あと何分」、「9時に寝て6時におきれば何時間ねれる」など、時間に関する表現を意識して取り入れることも大切です。学校の算数の勉強は、その単元が終わると次の勉強に移行してしまいますが、生活に絶対必要な「時刻と時間」は、家庭で根気強くずっと続けてあげてください。
<質問3>高学年の家庭学習について
小学5年生の母親です。学校の宿題とは別に家庭学習もさせたいと思っていますが、私も働いているため宿題のチェックで精一杯です。塾などには行かず、親子で家庭学習の習慣を定着させる方法はありますか。
<回答3>
お仕事や家事の中で、家庭学習の見守りをすることが難しいと感じておられるのですね。低学年の間は、興味・好奇心で解ける問題が中心ですが、高学年になるとそれなりに学問的で理論的になってきます。ここがこうだから…次はこうなるはず!という自分の考えを人に伝えたい気持ちも出てきます。その時にお子さんの声に耳を傾けられることは家庭学習の良いところだと思います。
基本的なことは学校の授業と宿題で十分ですが、お子さんの意欲があり、おうちの方も時間に余裕があれば10~15分の自主学習から始めてみるのが良いと思われます。そしてお子さんが自主的に進められるようになれば時間を延ばしていきましょう。また、先ほどお伝えしたように子どもはできたことを誰かに教えたい、伝えたい、認めてもらいたいのです。「これってどんな風に解くの?」「結構難しい字書けたね。」など、お話をしながら確認をしたりほめたりしてあげることをお勧めします。無理なくご家庭での貴重な親子の時間が充実したものになると良いですね。
<質問4>日記の宿題 なかなか進まないけど?
小学校2年生の子をもつ母親です。土日の宿題に、日記が出ます。書くことが決まらなかったり、どのように書けばよいのか分からなかったりして、なかなか進みません。どうしたらよいのでしょうか。
<回答4>
漢字や計算などの宿題はすぐに取りかかれても、日記を書けないというお話はよく聞きます。作文は、決まった答えがあるわけではないので、取りかかりにくいのかもしれませんね。
まずは、話題「書くこと」を決めましょう。日記を書かせるために、どこかに連れて行かないと・・・と、思っている保護者の方もいらっしゃいます。日記をきっかけに親子で出かけるのも素敵ですが、お手伝いをしたことや1週間で楽しかった学習や学校生活のことなどを話題にするのもいいですよ。
次は、そのことについて、詳しく思い出します。「したこと」「自分が思ったこと」「友達や家族が言ったこと」「一番頑張ったこと」「うれしかったこと」「おもしろかったこと」など、思いつくままそれぞれ付箋紙に書きます。
そして、組み立てを考えます。大きく「はじめ」「中」「終わり」の順に付箋紙を並べかえ、いよいよ文章にしていきます。付箋紙に書いたこととそれを補う文を入れながら書いていきます。「はじめ」には、「いつ、どこで、何をしたか」を簡単に書きます。「中」には、そのときにしたことや思ったこと、言われたことなどを書きます。会話文を入れたり、「まるで~のような」という比喩を使ったりすると、いきいきとした日記になりますよ。「終わり」には、日記のまとめを書きます。一番頑張ったことや楽しかったことなど、一番伝えたいことを書きます。
書き終わったら、文字の書き間違いや「、」「。」などが正しく使われているか推敲します。
「読んで」と言って日記を持ってきたら、上手に書けているところをほめて感想を伝えてくださいね。「書きたい」「伝えたい」という気持ちを育みたいものです。
<質問5>机で勉強しない
小学校3年です。小学校に入学したときに、学習机を購入しました。しかし、せっかく机を買ってあげたのに、机で勉強する姿をみたことがありません。机で勉強しなくていいのでしょうか?
<回答5>
よく聞く質問ですね。親としてはしっかり勉強してほしいと思い子どもに学習机を買います。買ったので机で勉強してほしい。しかしなかなか親の思ったとおりにならないわけですね。
でも、無理に学習机でさせる必要はないと思われます。大きくなって自分で進んで宿題や勉強ができるようになるまで待つことも必要です。低学年の時にはよくリビングやダイニングなどで勉強します。家族の目の届くところで勉強することで、困ったことがあったら相談したり、間違っていたら直したりすることができますし、おうちの人にとっても、学校での学習内容を知る機会ともなります。でも、いつまでもそうだとすると親としては心配になります。
さて子どもの成績を見るとき、伸びる子とそうでない子がいます。伸びる子に共通して見られる特徴は、持続して努力できることです。「継続は力なり」という言葉があるように努力し続ける力は他のどんな才能にも勝る大きな力です。持続力を付けるためには約束したことを守らせることです。その際、言いっ放しではなく、子どもをフォローして、「よくがんばったね」等の肯定的な声をかけることが大切です。その時にぜひ習慣にしていただきたいことが「机の前に座る習慣」です。これができれば、努力を続ける力が身についてきたと言ってもよいでしょう。決められた時間内に決められた時間だけ机の前に座るのです。初めは勉強するまではいかなくても、マンガを読んでもいいですし、絵を描いても構いません。最初は10分くらいでも構いません。少しずつ時間を延ばす、勉強に向かわせていくのがよいでしょう。この習慣は小学生のうちに身につけさせることが大事です。きっと中学校、高校へ進んでからよかったと思えるときが来ると思います。
子どもが机の前に座っている時は、家族の方も静かに本を読んだり、本を読むのを聞いてあげたりするといいですね。
<質問6>作文が苦手で書くのをいやがる
小学校2年男子です。宿題の日記や作文が嫌いです。「どう書けばいいのか、分からない」と言います。どうやって書かせればいいのでしょうか。
<回答6>
書きたいことを決めたら、子どもに質問してみましょう。「5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)」からスタートです。「いつしたの?」「誰としたの?」など、お家の方の質問に口頭で説明をしてもらい、子どもが語ったことをそのまま文にします。一文は短くて構いません。これをくり返します。「どのくらい?」「どんな気持ちがしたの?」などと問いかけてあげるのもいいですね。写真を見ながらそのときの様子を思い出すとより詳しく書くことができます。
作文や日記は「今の自分の記録」です。ときどき一緒に読み返して、「あのときは楽しかったね」「(以前と比べて)こんなに大きくなったね」などその成長を喜び合える楽しいものであるといいですね。
<質問7>発表が苦手
小学4年です。授業中に手を挙げて発表することが苦手なようです。周りの友達が元気に発表する様子をみて、本人もがんばりたいという気持ちはあるようです。どのように克服させてあげればよいでしょうか。
<回答7>
言語活動能力はこれから先、さらに必要になってくる力ですので、克服させてあげたいと思う気持ちは頷けます。発表をすることが苦手な子は、みんなの視線が集まることに恐怖を感じたり、自分の答えが間違えていたらどうしようと不安を感じたりする子が多いです。何事も不安を減らすためには経験を積むことが一番。ですから、発表に慣れることによって、少しずつ自信をつけていくことが大事だと思います。
まずは、担任の先生に相談されることをお勧めします。授業中のことですので、担任の先生の協力があると効果的です。簡単な質問からあててもらったり、ノートに書かれた素敵な答えをみんなの前で紹介してもらったりすることで、自信につながるはずです。
ご家庭では、本を読み終わった後に感想を聞いてみたり、友達のことや学校であったことを質問したりして、自分の考えを整理して話すきっかけをたくさんつくってあげてはいかがでしょうか。また、4年生なると、学習内容も少し難しくなります。学習内容のつまずきが原因かもしれませんので、そのつまずきを見つけてあげることもお子様にとってはプラスになるでしょう。
ただし、言い過ぎてお子様にとって負担になってしまうといけませんので、焦り過ぎないように気をつけてくださいね。学校から帰って「発表できたよ。」という声が聞けたときにはおおいに褒めてあげてください。
<質問8>小学校で英語の授業が始まる
小学校3年生から英語の授業が始まると聞きました。ついていけるのか心配です。
<回答8>
小学校3年生から英語の授業と聞くと、不安になりますね。
現在、小学校3、4年生で週1時間、外国語活動を行っています。外国語による言語活動を通して、積極的にコミュニケーションを図ろうとすることが目標です。また、小学校5年生、6年生では週2時間、外国語の授業が行われています。外国語による言語活動を通して、コミュニケーションを行う目的や場面、状況などに応じて、積極的にコミュニケーションを図ろうとすることが目標です。
英語の音声や基本的な表現に慣れ親しむことをねらいとしていますので、単語や英文法を教え込むものではありません。英語を使って、友だちとやりとりをしたり、異なる言語や文化について気付いたりすることで、「分かった」「伝わった」という体験をたくさん積み、「英語って楽しいな」「コミュニケーションって楽しいな」という気持ちを育てています。
各学年の発達段階に合った形で授業がなされていますので、英語を楽しく学んで、お子さんの世界が広がっていくといいですね。
<質問9>子どもに読書好きになってほしい。どうやってはじめればいいの?
読書をするといいとよく聞きます。来年から小学校に入学するので本を読ませたいのですが、なかなか自分からは読んでくれません。 どうすれば自分から本を読むようになるのでしょうか。
<回答9>
親子読書はいかがでしょうか。幼児から小学生の子どもと、家庭のリビングや布団の中などで、親子で一緒に楽しむ家庭内読書をご紹介します。
用意する本は1冊。絵本でも童話でも構いません。おうちの人が選んでも子どもが自分で選んでも構いません。あまり難しくない、むしろ易しすぎるくらいの本がよいでしょう。
夕食後、あるいはお風呂を終えて、ちょっとほっとする時間、お家の人がゆっくりページをめくりながら読み始めます。子どもはじっと黙って聞いています。あるいはあれこれ質問するかもしれません。
ゆったりとした安心感に包まれ、想像の世界で遊ぶことの心地よさを知った子どもは再びその心地よさを求めます。今日もまた読んで欲しいと願います。最初は10分で構いません。親としては、家事も仕事も見たいテレビもあるでしょうが、それらを10分だけ後延ばしして、このひとときを保証してあげましょう。
やがて子どもは、自分一人でも本を手にするようになっていきます。幼い頃からの読書の習慣が、その後の読書力につながるのではないでしょうか。
親子読書の方法は様々です。学年が上がれば、同じ本を読んで、親子で感想を交流するということもできます。小学生になると、子どもが語り手となって読み聞かせをすることもできます。時間を取って「聴いて」あげることが大切ですね。
<質問10>算数が分からない
小学5年です。算数が分からないと言い始めていて心配です。子どもの努力が足りないのでしょうか。
<回答10>
ここでは5年生の算数の学習内容について考えてみましょう。確かに4年生と比べて難しくなります。ベネッセ(2011)の調査では、保護者の方が5年生の算数の「学習内容が難しい」と感じている割合が24.5%と4年生(18.5%)に比べて増加しています。これは、整数から小数へ、具体物から頭の中でのイメージや操作を求められるなど、より抽象的な学習になっていることが要因の一つと考えられています。また、新しい教科書では今までの6年生で習っていた「分数÷整数」などを5年生で学習することも、難しくなっている要因の一つとして考えられます。学校でも教え方に工夫をするなどの対策をしていると思いますが、ご家庭での様子は保護者にしかわからないものです。お子さんが分からないと言っている状況を何らかの形で担任の先生に伝えて、知っておいてもらうことがよいでしょう。ご家庭でもお子さんの努力不足とすぐに決めつけずに、お子さんの話をよく聞いてあげるなどして、本人の不安な気持ちを受け止めてあげるようにしてみてください。
<質問11>鉛筆の持ち方
小学2年です。鉛筆の持ち方が少し変わっていますが、字は書けています。強引に直した方がよいのでしょうか。
<回答11>
「少し変わった持ち方だけど、字は書けている」のですね。でもやはり、鉛筆の持ち方は重要であるとお伝えしたいです。「何事も基本が大切」と言われますが、鉛筆の持ち方が我流である場合の多くは姿勢もよくないので、疲れやすい、視力等の低下を招きやすい、集中力が低下しやすい等のデメリットは確かにあり、学習の定着や理解と無関係ではないようです。高校で、改めて鉛筆の持ち方と姿勢の重要さを指導している場合もあるほどです。時間がたつにつれて、癖はなかなか直りにくくなってきますが、お子さんの場合は2年生ですから矯正しやすいと思われます。まずは姿勢を意識させましょう。いすの座り方はどうですか。深く座って、背中を伸ばしましょう。背もたれに軽く背中がついている状態です。次に鉛筆の持ち方です。親指と人差し指と中指で鉛筆の削り際から1センチのところを持つのが基本です。矯正のためのグッズも多く市販されていますし、チューブや洗濯ばさみなどを使ったやり方もあるようですね。教える際には感情的に怒鳴ると、お子さんも萎縮してしまうかもしれませんので、「焦らずに粘り強く」をおすすめします。
<質問12>個別指導
小学1年です。先生から、他の子より学習が遅れている教科があるので、授業中に別な場所で個別指導をした方がいいと言われました。正直、抵抗があるのですが、勉強が遅れるのも心配です。どうしたらよいでしょうか。
<回答12>
このような先生からのすすめに保護者の方が抵抗感をもたれるのは自然なことだと思います。できるだけ普通に授業を受けさせてやりたいと思われますよね。すべての教科ではなく、いくつかの教科が苦手なのでしょうね。もちろん、授業の中では理解のペースに合わせた個別指導も行われていますから、先生も授業の中の個別指導だけでは支援が不十分だと思ったのかもしれません。まずは、先生がそのように勧める理由について、十分話し合われることをおすすめします。お子さんの立場になって考えてみると、仮に「聞いていてもわからないのに、ずっと教室にいる」状態だとすると、辛い気持ちになっているのではないかと想像します。でも、一方で「みんなと一緒がいい」と思う気持ちもあるでしょう。確かに、個別指導だとマンツーマンに近い支援も可能ですから、その子のペースに合わせて「できなかったことができるようになる」という達成感を持たせられるかもしれません。いずれにしても、お子さんが納得して、勉強への意欲を持てるような方法と励ましが望ましいといえるでしょう。
<質問13>忘れ物
小学2年です。忘れ物が多いようです。教科書を忘れて、隣の子に見せてもらっているのに、自分のもののように扱ってしまうなど迷惑をかけているようです。どうしたらよいでしょうか。
<回答13>
ここでは2つの面から考えてみましょう。まずは、忘れ物をしない工夫です。保護者の方がすべてを準備してしまうと、お子さんの力が育ちませんから、できるだけ本人にがんばらせましょう。まず、連絡帳には明日の準備物はきちんと書かれてあるでしょうか。先生も書いてあるかをチェックしているとは思いますが、保護者の方もまず確認なさってください。家ではその連絡帳をみながら準備をする時間を決めてみましょう。毎日決まった時間が習慣化への近道です。最後に保護者の方が点検しましょう。できていたら必ず褒めてあげてください。次に迷惑をかけることについてです。2年生は、まだ「相手の立場に立って考える」ことが難しい段階だといわれています。だから練習が必要ですね。ある意味学習のチャンスともいえます。例えば兄弟がいる場合、兄弟げんかが起きたら教えるチャンスです。まずはクールダウンをさせ、「(相手は)どんな気持ちなんだと思う?」などと問いかけてみます。最初は言葉にならないかもしれませんから、保護者の方が選択肢を与えるなどの工夫もよいでしょう。上記の2つとも続けてできるとよいですね。
<質問14>宿題の量
小学5年です。宿題の量がクラスによって違うようです。自分のクラスはあまり宿題が出ないようで、勉強できなくなると心配なんです。どうしたらよいでしょうか。
<回答14>
実は「宿題が多すぎる」とのご心配をもつ保護者の方も多いようです。ここではまず、小学生の学習時間について考えてみましょう。学研教育総合研究所(2010)の調査によれば、小学1年の家庭での学習時間が「30分-1時間」が約70%「1-2時間」が約27%でした。学年が上がるにつれ、学習時間は長時間化し、小学高学年では「30分-1時間」が約40%、「1-2時間」が約50%となります。つまり小学5年では、約90%が「30分-2時間」家で勉強しているということになります。家庭での学習は、ほぼ学校の宿題と塾などの課題をしている時間と考えてよいでしょうから、お子さんの学習のペースも考え合わせた上で、学習時間が上記の時間内に収まっているようであれば、適切な量の宿題といえるのではないでしょうか。宿題の量などについては、担任の先生の指導方針もあるでしょうから、直接尋ねられてみてはいかがでしょうか。
<質問15>通知表の見方
小学4年です。中学校に入るとテストの度に順番が出される事が多いのに、小学校の通知表では、うちの子がどの位置にいるのかよく分かりません。なぜ、小学校の通知表はこういうつけ方なのですか。
<回答15>
保護者の方が小学生の時代には、学級や学年など集団の中での順位(相対評価)だったかもしれませんね。しかし、2002年度から相対評価から絶対評価(目標に準拠した評価)に変更になり、小学校の通知表は順位付けをするものではなく、「学習内容がどれだけ身についたか」を示すものになりました。学習指導要領に示す目標がどの程度到達していたかを数字の3~1、A~Cなど3段階で評価します。評価の基準や示し方は各学校ごとの裁量に任されますが、一般的には3・Aは「十分満足できる」、2・Bは「おおむね満足できる」、1・Cは「努力を要する」で示されることが多いようです。 通知表を出す目的は、中央教育審議会によると、「保護者に対して子どもの学習の状況を連絡するとともに、家庭の理解や協力を求めるため」とあります。保護者の方にお子さんの学習の到達状況をお知らせした上で、学校とご家庭が協力してお子さんの力を伸ばしていくという考えが土台にあります。「人と比べてどうか」という視点よりも、「それぞれの学習をどの程度理解できているか」という視点で共通理解していけるとよいですね。
<質問16>字が乱雑
小学3年です。うちの子は字が乱雑で、ノートやテストの字を見ると、何が書いてあるのか読みづらい時があります。気がつくと注意はしているのですが、どうしたらよいでしょうか。
<回答16>
ベネッセ(2011)の調査では、保護者の約57%がお子さんの字に不満を持っているようです。「きれい」ではなくても「丁寧」には書いてほしいというのが親の心情ですね。つい乱雑に書いてしまうことについて、いくつかの可能性を考えてみましょう。質問2にも回答しましたが、まず、鉛筆の持ち方は重要なポイントです。次に、学習のスピードについていくために、慌てて書いてしまうという場合も考えられます。そして、授業に対する理解が十分できているかどうかをあわせて考えてみましょう。また、努力の問題ではなく生まれつき字が苦手な人も中にはいます。他のことは標準的にできるのに字だけが極端に汚いという場合には、専門機関に相談することを考えてもよいかもしれません。最後に、保護者の関わりですが、「注意する」こととあわせて、丁寧に書けた時には「褒める」も行ってみてください。「注意する」時には、できるだけ感情的にならないよう、あっさりと「書き直してみよう」と声をかけてあげてみてください。時間はかかりますが、最初は漢字や計算などの字を丁ねいに書くことから始めるとよいと思います。
<質問17>学力は大事?
小学3年です。担任の先生から、勉強をしない、学力が低いと言われています。でも社会人になったら学力はあまり関係なく、気配りができるなど人づきあいの方が大切だと思います。この考え方は間違っているでしょうか。
<回答17>
人づきあいの力は大切です。現在の日本は、経済がソフト化・サービス化して第3次産業の割合が増えていますから、ますますコミュニケーション力が問われる時代だといえますし、これからもその傾向は変わらないでしょう。一方で、少子化などが進んで、子供たちが生活体験の中からコミュニケーション力を自然と身につける機会が少なくなっていることも事実です。ご質問の考え方はとても重要で、折りにつけお子さんに話してあげたり、社会性を育むような体験をさせたりしてあげましょう。一方、学習については基本的な部分は保障してあげたいものです。読み書きなど基礎的学力は、人とコミュニケーションしていく上でも重要です。また、興味関心をもって、考えたり、調べたりする力は、お子さんの人生を豊かにしてくれます。本来この年代は、知識を吸収する事が楽しい時期だともいわれていますから、お子さんの「できていないこと」ではなく、「できていること」に注目して、認めてあげることで、次への学ぶ意欲がわいてくるのではないでしょうか。
<質問18>授業中落ち着きがない
小3男子です。授業中にじっとしていられないと先生から言われました。どうしたらよいでしょうか?
<回答18>
ご心配ですね。「じっとしていられない」というのは、どんな様子なのでしょうか。「手遊びをする」「友達に話しかける」「立って歩いてしまう」など詳しい様子を、まずは聞かれるとよいでしょう。次に、お子さんはもともと活発な子だったでしょうか。1~6歳の頃、じっとしていることが苦手な子だったでしょうか。もし、授業中「手遊びをする」程度で、小さい頃からじっとしているのがさほど苦手でもないようであれば、「授業がよく分からなくなってきた」などの原因が関係していることも考えられます。担任の先生と小さい頃の情報など連絡を取るようにしてはいかがでしょうか。もし、授業中「立って歩いてしまう」し、「昔から落ち着きのない子」だった場合には、もともとお子さんが持っている特性(個性)の可能性も考えられます。特性にあった勉強法や社会性を身につけていくためにも、まずはお子さんの特性(個性)を理解することがよいでしょう。お子さんの特性は、専門機関でクイズのような質問検査を受けることで、ある程度分かります。一度相談してみるのもよいでしょう。
<質問19>興味の偏り
小3女子です。歴史上の人物の知識や、生き物の知識などにとても興味があり、熱中するのですが、自由研究や課題作文などは苦手で、まったくやる気をみせません。どうしたらよいでしょうか?
<回答19>
何でもバランスよくできる子もいますが、「これだけは誰にも負けない」くらい熱中できることを持っている子も素敵ですね。ここでは、「得意なことを伸ばす」ことと「苦手なことを克服する」ことについて、考えてみましょう。
興味・関心があることに熱中して勉強することで、知的好奇心は満たされ、知識の幅も広がります。生き物に関する図鑑や本を読むことで、漢字やボキャブラリーも増えていくというよい面があります。「熱心に勉強してるよね。どんなところがおもしろいの?」と聞いてあげると、うれしくていつまでもしゃべり続けるかもしれません。まずは、「得意なことを伸ばす」関わりで、お子さんの自尊心や自信を高めていくことがよいのではないでしょうか。
その上で、「苦手なことを克服する」ことにもトライするように促していくと、お子さんに受け入れやすいと思われます。その際、ご相談のケースのようなお子さんは、「自由に自分の考えを書く」ことが苦手である可能性が考えられます。まずは、一人でがんばらせるよりも、保護者の方と一緒に考えていくことで、段階的にできることを増やしていくことをお勧めします。
<質問20>宿題をしない
小4男子です。担任の先生から「宿題への取り組みが悪いので、家でも見てあげて下さい」と言われましたが、忙しくてなかなかできません。どうしたら毎日1人でするようになるでしょうか?
<回答20>
「宿題をしない」ことで悩んでおられる保護者の方は多いようです。ご相談の場合のようにいろいろとお忙しい場合には、先生からそのように言われると辛いですよね。「忙しいのに」とついイライラして、感情的に怒りをぶつける保護者の方も多いようですが、感情的な叱責が「一人で宿題をする」ことに効果的であったという話はあまり聞きません。まずは、お子さんの立場から考えてみましょう。宿題をしないのは、「仲間と遊びたいから」など他にやりたいことがある場合、「自分一人ではわからないから」と授業で理解できていないことが多くなってきた場合、「習い事やスポ少で疲れてしまう」などやるべきことが多すぎて手が回らない場合など、いろいろなケースが考えられます。それぞれに応じて対応は変わってくるように思います。まずはお子さんの生活を振り返ることから始められてはいかがでしょうか。学校の様子が詳しく分からないときには、ぜひ先生と話し合われることをお勧めします。
<進路について>
<質問1>公立以外の中学校への進学
小学5年です。地元の公立中学校への進学を考えていたのですが、子どもは附属中学校などへの進学を希望しています。その際、何を基準に選択したらいいのでしょうか。
<回答1>
福井県には、令和4年4月1日現在、国立の附属中学校が1校(福井大学教育学部附属義務教育学校後期課程)、私立の中学校が4校(福井工業大学附属福井中学校、北陸中学校、敦賀気比高等学校付属中学校、かつやま子どもの村中学校)、県立の中学校が1校(高志中学校)あり、現住所による制限はありません。
「何を基準に選択したらよいか」とのご質問ですが、現住所と学校との距離(通学方法)、各学校の教育方針、教育課程、高校進学の際の入試の有無、部活動の活動状況などを総合的に考え合わせて判断されるとよいでしょう。学校説明会やオープンスクールは、実際の学校生活を見たり、在学する生徒の声を聞いたりできるチャンスですので、積極的に参加してみましょう。また、各学校のホームページにも学校生活の様子が載せられていますので参考になるでしょう。
私立中学校や附属中学校、県立中学校には、広域から生徒が進学しているという特徴があります。多様な人とつながることができるという点では、地元の中学校より魅力的に感じることもあるでしょう。お子さんが人間関係に悩んでいる場合に、新しい環境を求めていることも考えられます。保護者の方は、お子さんが附属中学校などへの進学を希望する理由や、地元の公立中学校への進学を希望しない気持ちも十分に受け止めながら、お子さんと話し合いを進めてみてはいかがでしょうか。
<塾や習いごとについて>
<質問1>塾に通うか
小学5年です。今は本人任せで塾や習い事など何もさせていません。周りは、結構塾などに通わせているようです。本人のやる気次第だと思ってきましたが、少し焦る部分も出てきました。どうしたらいいでしょうか。
<回答1>
文部科学省の平成30年度の「子供の学習費調査」では、学習塾へ通う小学生の割合は、公立小学校の4年生で40.3%、5年生で45.1%、6年生では51.6%と、学年が上がるにつれて高くなっています。
質問にありますように、「本人のやる気次第」というお考えについて、「やる気」はどのように起きるのか考えてみましょう。「やりたい」という気持ちは、本人の内面から起こってくるので、やる気は長続きすると考えられます。逆に、保護者が「しなければならない」と、塾や習い事を強制している場合には、本人の「やらされている」感が強くなり、やる気は持続しにくいでしょう。
5年生は勉強が難しくなってくる時期です。お子さんは勉強に対して焦りを感じているかもしれません。保護者の方の焦りだけで動かずに、「勉強で困っていないか?」と、本人の気持ちをよく聞いてあげてください。また、夢や目標は「やる気」につながります。「今やってみたいこと」や、「将来やりたいこと」についても、お子さんに尋ねてみてください。その中で、直接ではなくても実現につながる習い事が見つかれば、積極的にやらせてみるのもよいと思います。本人任せにして待つのではなく、親子でコミュニケーションをより一層とることが大事なのではないでしょうか。
<質問2>スポ少をどうするか
小学4年です。スポーツ少年団に入って野球がやりたいと言い出しましたが、すでに行かせている塾も続けてほしいと思ってます。どうしたらよいでしょうか。
<回答2>
お子さんが「やりたい」と思うこともやらせてあげたいし、保護者の方が「やらせたい」と思うことも続けてほしいというお気持ちは自然なことだと思います。
文部科学省(2018)によれば、小学校高学年の通塾率は約45%、日本スポーツ協会(2014)の調べでは、福井県のスポーツ少年団の加入率は約11%(全国で6番目の多さ)でした。この中には、塾とスポーツ少年団の両方に参加しているお子さんもいることでしょう。さらには、習い事をしているお子さんも少なからずいらっしゃることでしょう。もちろん、毎日することがなくてゲームばかりしているという状態よりも、スポーツをすることで心身を鍛え、塾に通うことで学力を伸ばすことは、自己成長につながっていると考えられます。しかし、がんばりすぎている場合には、心身ともに不調に陥る可能性も否定できません。お子さんの希望を大切にしながら、親としての願いを伝えるなど、お子さんと話し合うことが大事だと思います。その際、例えば1週間の生活について具体的にイメージを持たせることが必要です。お子さんの性格も考え合わせながら、心配なことや期待できることをお子さんと共有した上で、学校以外の活動について決められてはいかがでしょうか。。