令和2年12月9日(水)の教科別研修は、越前市出身の書家・評論家の石川九楊氏による「書」と「文学」を読み解く講座となりました。
午前中の講義「書字教育なくして教育なし」では、手書き文化の重要性について、日本語が漢字、ひらがな、片仮名で構成されている点に着目しながら説明されました。
特に、漢字は歴史的観点からも、哲学や政治の場面で使用されたため、知識の根幹であること、また源氏物語などの国文学は平仮名文化であること、片仮名は漢文を読む際に補助的に使用されていたことなど、日本語独自の文字文化について触れられました。
また、一点一画の積み重ねが文字を生み、文章へと発展する過程から、手書き文字が思考を支えることなどを説明され、書字教育の必要性を改めて説かれました。

写真:講義の様子

 午後の講義「郷土作家の書を読む、文学を読む」では、郷土ゆかりの作家の手書き原稿や書作品等から、人となりや文学性を考える内容となり、高等学校書道の授業における鑑賞教育に活かすことのできる内容となりました。
特に三好達治、中野重治、高見順、水上勉等の比較は、興味深い内容となっており、書字速度や余白の大きさ、筆圧の違いから文体の違いを考察するもので、新鮮な感覚で受講することができました。
本講座では、ふるさと文学館学芸員による「石川九楊展」のギャラリートークも併せて開催され、理論と鑑賞の両面から研修を深めることができました。