高速通信ネットワークを活用した情報教育の在り方の研究
-デジタルコンテンツの開発・活用とマルチメディアコミュニケーションを利用した授業を展開するための支援活動を通して-

富田裕之,西脇繁和,辻川広也,佐島ひろ美
澤田佳久,駒野千津美,坪田英俊

高度情報通信ネットワーク社会に対応した教育を推進していくため,3か年計画で研究を進めている。高速大容量回線を有効利用したテレビ会議システムを主とする,マルチメディアコミュニケーションの教育利用のための支援を行い,効果的な活用法について考察した。また,デジタルコンテンツを研究開発し,有効性を検証した。1年次に当たる今年度は,小学校の授業に役立つ福井県の地域素材を中心とした動画コンテンツを作成した。

〈キーワード〉高速通信ネットワーク,マルチメディアコミュニケーション,
テレビ会議システム,デジタルコンテンツ ,動画

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高速通信ネットワークを活用した情報教育の在り方の研究
-インタラクティブコミュニケーションの活用と教材の共有化について-

澤田 佳久
高速通信ネットワークにおけるインタラクティブコミュニケーションツールの一つであるテレビ会議システムを活用した交流・共同学習の在り方,及び学習に必要な資料や情報の共有化を促進する教材共有システムの開発・活用の研究を行った。テレビ会議システムや教材共有システムは,子供たちの「生きる力」や「確かな学力」をはぐくみ,情報活用能力を育成するために効果的であることが分かった。

〈キーワード〉高速通信ネットワーク,インタラクティブコミュニケーション,テレビ会議システム,デジタルコンテンツナビゲータ,教材の共有化

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集団適応指導におけるグループアプローチの研究
-合同宿泊体験学習「ウィズ・フレンズ」における体験活動を通して-

宇佐美宏一郎

県内の各適応指導教室に通う児童生徒が集い,共同生活や体験学習をする2泊3日の合同宿泊体験学習「ウィズ・フレンズ」が,平成10年度から実施されており,この宿泊体験学習後に学校に復帰できたなどの子供の変容が報告されている。過去5年間の活動内容やプログラム編成等を概観し,参加した児童生徒及び指導員のアンケートや感想を分析し,不登校の子供たちに学校復帰等の変容をもたらした要因について検証した。
その結果,親しい子から初対面の子へ,意図的集団から任意の集団へといった活動形態の配慮が人間関係を促進し,安心感を生み,自信へとつながることが分かった。

〈キーワード〉不登校,適応指導教室,体験学習,グループアプローチ

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不登校児童生徒の心の支えを探る
-フレンド学級に在籍した児童生徒へのアンケートと面接を通して-

東 美穂・大澤 朋子

適応指導教室「フレンド学級」に通っていた児童生徒は,その後,学校復帰したり,上級学校へ進学したり,新たな居場所を見付けたりして,力強く歩んでいる場合が多い。そこで,平成11~13年度のフレンド学級在籍の児童生徒 (平成14年度に継続の児童生徒は除く)を対象に,アンケートと面接による調査を実施した。その結果,フレンド学級での活動やスタッフの対応の中に有効な支援のポイントをとらえることができた。さらに,フレンド学級が,修了後も自己の在り方を考える力,人とかかわる楽しさを自らつくり出す力をわかせる原点となっていることも分かった。

〈キーワード〉適応指導教室,不登校児童生徒,アンケートと面接,心の支え,人とかかわる楽しさ

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 子供たちが主体性を発揮できる体験活動の在り方についての検証
-合同宿泊体験学習「ウィズ・フレンズ」を通して-

山本 雅代

学校復帰を最終的な目標に据え,不登校の子供たちの集団適応能力を育成し,自信を回復することを意図して様々な集団体験学習を行ってきた。特に,合同宿泊体験学習「ウィズ・フレンズ」では,毎年の課題を検討し,体験的プログラムに工夫を重ねてきた。本研究では,子供たちの主体性に焦点を当て,「ウィズ・フレンズ」の振り返りを客観的に分析することで,子供たちがどのような場面でプラスの感情を持ち,自信につなげていくのかを検証,考察した。その結果,子供たちの興味関心の傾向,人間関係が促進されやすい状況などが明らかになり,今後の体験活動プログラムの立て方に,新たな視点を得ることができた。

〈キーワード〉合同宿泊体験学習,主体性,体験活動,振り返りアンケート,自由記述の分析

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自己を見つめることを大切にした道徳の授業の在り方
-心に響く授業づくりと「生活ファイル」を使った実践を通して-

濵岸 里美

本研究は,道徳的価値の自覚を深めることを目指した,道徳の授業の在り方・進め方に関するものである。道徳的価値を自覚するには,自己を見つめることが大切だと考え,道徳の時間を心に響く授業にしていく工夫と,「生活ファイル」を使った授業の実践を行った。その結果,生徒は道徳の授業が印象に残り,道徳と自分の生活とのかかわりを感じるようになることが分かった。

〈キーワード〉自己を見つめる,道徳の時間,生活ファイル,道徳的価値の自覚

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公民科現代社会における自己評価力の育成の研究
-評価規準と評価基準表を使った実践を通して

竹吉 睦

平成13年度の研究の結果,課題となった自己評価力の育成について,実践研究を行った。県内の普通科高校1年生を対象とした公民科「現代社会」の課題学習において,評価規準と評価基準表を設定して示し,学習の深化と自己評価力とのかかわりを調べた。評価基準「A」を明示した調査活動と,評価基準表に沿った報告書の改訂を通して,基礎的な自己評価力が育成され,学習も深化することが分かった。

〈キーワード〉現代社会,自己評価力,評価規準,評価基準,評価基準表,課題学習

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表現の基礎的な能力を伸ばし主体的な活動を促すための「書道Ⅰ」における実証的研究
-「書写・書道」の接続に関する考察における授業実践から-

小竹 伸之

小・中・高等学校「書写・書道」の接続の必要性に関する考察の中で,何をもって接続となすのかを検討し,その結果と主題との関係について「書道Ⅰ」における授業実践において実証を求めようとした。表現の基底として,特に小学校国語科「書写」における学習内容の文字造形面に着目したが,自己表現の起点を確認することで「基礎的な能力」から「創造的な表現」への展開,また「主体的な活動」への可能性を導くことができた。

〈キーワード〉「書写・書道」の接続,国語科「書写」,基礎的な能力,創造的な表現

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中学校美術科における主体性を高めるための自己評価・相互評価活動の在り方
-自己評価の活用と鑑賞会の工夫を通じて-

鎌田 誠

本研究では,鑑賞会を自己評価・相互評価の場面として設定し,その指導計画における位置付けや活動形態の工夫を行った。その結果,自己評価・相互評価の活動を通じて自己の作品を振り返る姿勢に変化が見られ,積極的に新たな目標の設定を行うなど,生徒の活動への取組に効果が見られることが分かった。

〈キーワード〉中学校美術科,鑑賞会,自己評価,相互評価,活動形態

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観察・実験の技能を高める指導について
-デジタルコンテンツを活用した学習を通して-

甲斐 和浩

福井県学力調査(第49次,第50次)の小学校理科において,児童の「観察・実験の技能・表現」の力,特に技能の不足が懸念される結果が出ている。そこで,小学校理科における観察・実験の技能についての現状を把握し,不足している要因や必要とされる手立てを整理し,それを踏まえて観察・実験の技能を高めるための効果的な教材・教具を開発した。

〈キーワード〉小学校理科,観察・実験,デジタルコンテンツ

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観察・実験における思考を活性化させるための工夫
-KJ法とマッピング・コミュニケーションの試行を通して-

西出 和彦

理科における科学的な思考を育成するための活動として,話し合い(対話)に注目し,理科の観察,実験の授業における個人の意見,疑問,感想などの集約方法や話合いの方法について考察した。具体的な手段としてKJ法とマッピング・コミュニケーションの手法を取り入れ,その効果を確認した。今回は試行段階の試みとして,組換えDNA実験を中心とした教員対象の実験講習会を開催し,上記の方法の有効性と改善点,留意点を明らかにした。今後これらの結果を基に授業実践に役立てたい。

〈キーワード〉科学的な思考,話合い,KJ法,マッピング・コミュニケーション

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「情報とコンピュータ」内容における教材・教具の開発
-タグ打ち型Webページ作成ソフトウェアの開発に関する試み-

吉川 雄二

新学習指導要領の実施に伴い,技術分野の内容が従来の6分野から二つの内容に再編,統合されるとともに,年間授業時数の大幅な削減がなされた。また,総合的な学習の時間の実施に伴い学校現場における生徒の情報活用能力の育成が一層求められるようになった。こうした実状に対応するため,今日のインターネット技術,特にHTMLに注目し,これまでの授業実践から明らかになった問題点を解消するためのタグ打ち型Webページ作成ソフトウェアを開発した。その活用法と有用性について紹介する。

〈キーワード〉情報とコンピュータ,Webページ作成,情報活用能力