0-6歳(学習・進路編)

学習について

<質問1>小学校入学までにどのような学習をしておくとよいでしょうか。

  • 来春,子どもが小学校に入学するのですが,入学までにどのような学習をしておくとよいでしょうか。

  • <回答1>
    ひらがなぐらいは読み書きできた方がいいのでは・・・。」「簡単なたし算やひき算ぐらいはできた方がいいのでは・・・。」などと心配になるかもしれませんが,文字や数などは入学してから授業で学習します。
    それよりも重要になってくるのは,人の話をしっかり聞けることや自分の思いや考えを言葉で伝えられることです。話を聞いていないと学習内容が分からなくなり,主体的に取り組むことが困難になってしまう場合があります。また,ペア学習やグループ学習など,友達の話を聴いたり自分の意見や考えを述べたりする機会も増えます。
    これらのことは,学習面に限らず学校生活全般において大事になってきます。日頃からお子さんの話に耳を傾け,最後までしっかりと聴いてあげるなど,お家の方が聴き方のお手本を見せてあげるとよいかと思います。また,お子さんが自分の思いや考えを言葉で伝える機会も大切にしてほしいと思います。

<質問2>絵本の読み聞かせはいつまですれば良いの。

  • 子どもがもうすぐ1年生になります。園の先生から「おうちでもたくさん読み聞かせをしてください」と言われていたので続けてきました。最近では、ひらがなが読めるようになってきたので、そろそろ読み聞かせも卒業かなと思っています。小学校に入ったら、読み聞かせはしなくて良いですか。

  • <回答2>
    家庭での読み聞かせを推奨してくださった園の先生も、それを実行してくださったおうちの方もすばらしいですね。絵本が好きな子になってほしい、ゆくゆくは、読書好きな子になってほしいという願いは、少なからずどの保護者の方もお持ちではないでしょうか。忙しい時間をやりくりして、子どもとゆったりした時間をもちながら絵本の読み聞かせをされてきたことと思います。
    文字が読めない間は当たり前に読み聞かせをしていたけれど、文字がある程度読めるようになってくると、そろそろ自分で読んだ方が良いかなと思うのは当然です。しかし、文字が読めるようになることと、絵本の内容が楽しめることは全くの別物です。自分で読める本でも、読んでもらうことで、文字を理解するのではなく、内容に集中できます。つまり、物語に集中し、自分の想像力を使って場面を想像しやすくなるのです。こう考えると、文字が読めるようになったからとか、小学生になったからと、ある時期で区切って読み聞かせをやめるということではないようですね。
    ベネッセ教育総合研究所の調査でも、年長児期に読み聞かせをしてもらっていた子どもほ ど、小1期に1人で絵本や本を読む(見る)頻度が高い傾向にあるという結果が出ており、親子の読み聞かせが、子ども自身の絵本や本への関心を高めると思われます。
     読めるようになってくると、子どもは、一人で読もうとします。それは大事なことです。ただ、一人で読んでいるから「読み聞かせは卒業」というわけではありません。高学年向けの読み聞かせの絵本が紹介されているくらいですから、「読んで」と言われる間は読んであげるのはもちろん、「もういい」と言われるまでは、可能な限り続けてほしいです。
    絵本を読んでもらった経験は、お子さんが大人になった時、きっと楽しかった思い出として残ります。そんな時期もあっという間に過ぎ去ってしまうことを考えると、絵本の読み聞かせを通して、できるだけ長い間、お子さんと楽しい時間を共有できると良いですね。

<質問3>先生の話がちゃんと聞けない。

  • 4歳の息子のことです。家でも言うことを聞かない様子は見られていましたが、園でも、先生が前で話しているのに友達とおしゃべりしていたり、かと思うとぼんやりしていたりと、話をちゃんと聞けません。早めに専門機関に行ったほうがいいでしょうか。

  • <回答3>
    親としては、みんなが聞いているときには、ちゃんと聞いてほしいですよね。息子さんは、聞かないのでしょうか、それとも、聞けないのでしょうか。
    自分の話を聞いてほしいと思ったのかもしれません。もっと他にやりたいこと(空想にふけっていることも含みます。)があったのかもしれません。今聞いていなくてもそんなに困ることはないと経験上わかっているのかもしれません。でも、もしかすると、言われていることが理解できていないことも考えられます。
    幼児期の発達段階を考えると、まずは、自分の話すことを聞いてくれて受け止めてくれる人がいる、そういった経験の積み重ねがあって初めて、人の話も聞こうとするようになってきます。だから、今は話したいことが最優先の時期かもしれません。
    また、少しのんびりした子が「ああしなさい」「さっさとしなさい」と、ひっきりなしに言われ続けると、対等に言い返す言語能力がまだ十分身についていない子どもは、防衛本能で、聞き流すという行動に出るとも言われています。こうなると、聞かない癖がついてしまいます。
    そう考えると、聞かない背景にあるものを考える必要が出てきます。思い当たることがある場合は、子どもの話を聞くよう意識したり、おうちの方が、10言いたいことを半分くらいにすることを心掛けてみてはいかがでしょう。
    4歳ぐらいになると、遊びながらでも聞いていたり、別のことをしていたけれど、聞いて理解していたりすることもあります。聞いているかどうかは、子どもの視線や動きで判断されることが多いですが、大切なのは、理解できているかどうかです。集団で過ごしていると、聞いているふりをして、理解できていないけれど周りが行動する姿を見て行動する子もいます。隣とおしゃべりしていて聞いていないようで、しっかり理解できている子もいます。状況によって聞けたり聞けなかったりすることもあります。そこを見極めた上で、言われていることが理解できていない、ある状況になると(例えば、他の声や音の中から自分を呼ばれている声が聞き分けられない等)聞けなくなるというようであれば、専門機関にご相談することをお勧めします。

<質問4>幼児教育の重要性

  • 3歳の子どもが保育園に行っています。最近、幼児教育の重要性が話題になっているようですが、「教育」とは学習のことですよね。どんな勉強をさせたらよいのでしょう。とりあえず、ひらがなから始めようとは思っているのですが・・・。

  • <回答4>
    お子さんが小さい間は、勉強ではなく、たくさんの遊びを経験させてあげてください。また、『家庭は,愛情やしつけなどを通して幼児の成長の最も基礎となる心身の基盤を形成する場である』ことから、字に興味をもたせたいなら、おうちの方の膝の上で、絵本の読み聞かせをすることをおすすめします。読み聞かせは、小さい間だけではなく、小学生でも喜びます。たくさん読み聞かせをすることも幼児教育の大事な一つです。(『 』:文部科学省 中央審議会 答申引用)

<質問5>いつから鉛筆を持たせるべき

  • 今3歳ですが、そろそろ鉛筆を持たせた方が良いかなと思っています。どうせ持たせるなら正しい持ち方で、と考えるとまだ早いような気もしますが、いつ頃から鉛筆を持たせるべきですか。

  • <回答5>
     「○歳になったら鉛筆を持たせましょう。」という明確なものはありません。しかし、鉛筆を持たせることを考える前に、次のようなことがたくさん経験できているか振り返ってみてはどうでしょう。クレヨンやマジック等で大きな紙に絵や線を描いていますか。うまくお箸が使えていますか。 腕、肘、手首、指の順にいろいろな関節を使うことが文字を書く、つまり鉛筆で書く動きにつながります。腕を十分に使って、大きな紙に絵や線を描いたり、肘からの動きを使って色を塗ったりすることで、動きや力の加減などを調整する経験が積まれます。お箸の持ち方は、鉛筆の正しい持ち方につながります。うまくお箸が使えた状態で、下のお箸を抜いた手の形が鉛筆の持ち方になります。
    3歳でしたら、鉛筆を持たせることを考えるより、「描くことが楽しい」と思えるような経験をたくさん積ませてあげてください。「これは、おうちでね、ここから車が出てね・・・」というように絵のお話を聞いたり、一面にクレヨンで塗った絵を見て「こんなにたくさん塗ったんだね」と認めたりすることで、「楽しい」という気持ちが育まれていきます。大きな紙に思い切り描く経験を積む中で、お子さんの興味が向いたときに、芯の柔らかい濃い鉛筆を準備してあげてはどうでしょうか。

<質問6>就学心構えは

  • 子どもが小学校に上がります。子どもは、園で小学校の話を聞いたり、小学生と交流したりしてとても楽しみにしているようです。緊張しているのは親だけなのかもしれませんが、就学に当たっての心構えや、親としてこうするべきというものはありますか?

  • <回答6>
    子どもさんが楽しみにしているのは何よりです。おそらく、小学校の話を聞いたり、実際に交流したりすることで、自分が小学生になるイメージがもてているのだと思います。園や小学校の先生方も、子どもたちが安心して小学校に入学できるようにといろいろな配慮をしてくださっています。
    そんな中、保護者の方が必要以上に気負ってしまうことで、せっかく楽しみにしている就学が、「もしかして小学校って大変なところなの?」と感じてしまっては大変です。でも、新しいところに行く我が子に対して、心配なのももちろんです。
    そこで保護者の方としては、次のことを心がけていただくのはいかかでしょうか。まずは、「園生活と変わらず、規則正しい生活を送ること」「そして、園であったこと(後々小学校であったこと)をどんどん話せるような雰囲気を作ること」「お手伝いの機会をつくって、やり遂げたときに認めて自信をもたせること」です。
    「これができないと小学校へ行けないよ」等、脅かすことなく、今の自分に自信がもてて、できないことにも挑戦しようとする意欲を育てるような声かけや態度で接してくださることが、就学に向けておうちの方に心がけていただきたいことです。
    県でも、福井県教育委員会家庭教育通信「お子様が新入学を迎える家族の方に知ってほしい5つのこと」のリーフレットを就学時健康診断等で配布しておりますので、参考にしていただければと思います。

  •  https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/gimu/manabiweb/seitoshidou_d/fil/R3_5.pdf

<質問7>ひらがなや数字をきちんと教えなくてもいいの?

  • うちの子の通っている園では「遊びを中心として子どもを育てている」と聞きました。遊びが大切なのはなんとなくわかりますが、ひらがなや数字をきちんと教えなくてもいいのでしょうか。

  • <回答7>
     「遊びを中心として」と聞くと、小学校に入学してから大丈夫かなと思われる保護者の方もいらっしゃるかと思います。
    幼児教育では、子どもたちが主体的に遊びや活動を発展させる中で「学びに向かう力」が培われると考えられています。また、「学びに向かう力」とは、興味・関心、意欲をもち、粘り強く、仲間と協調して取り組む力や姿勢が中心となります。
    例えば、自分たちの作った物を使ってお店屋さんごっこをする場合、お店屋さんには看板が必要だから「看板を作りたい」と考えるかもしれません。看板を作りたいからひらがなを書きたい、値段もつけたいから数字が書きたいという意欲がわいてきます。ひらがなや数字を書くことが目的ではなく、お店屋さんをすることが目的で、その目的を達成するためにひらがなや数字が必要だから「先生、教えて」と働きかけることになります。子どもたち自らが、「書きたい」「使いたい」と思って、遊びを通して経験することが幼児教育では大切であり、それが「学びに向かう力」につながっていきます。
     「遊びを中心として子どもを育てる」というのは、遊びの中で、園の先生方が、子どもたちの様子を見取ってかかわったり環境を考えたりすることで、「やってみたい」と思えるような意欲を育てていくということです。

<質問8>認定こども園って、どんな施設ですか?

  • 近所の保育所や幼稚園が「認定こども園」になると聞きました。最近、いろんな園の種類があるようなのですが、よくわかりません。

  • <回答8>
    認定こども園とは、
    (1)就学前の子どもに幼児教育・保育を提供する機能(保護者が働いている、いないにかかわらず受け入れて、教育・保育を一体的に行う機能)
    (2) 地域における子育て支援を行う機能(子育て家庭を対象に、子育て不安に対応した相談活動や、親子の集いの場の提供などを行う機能)
    を備える施設をいいます。
    平成18年10月から創設されたもので、保育所・幼稚園の機能を併せ持った施設です。次のような「よさ」「効果」が期待されています。
    ・保護者の就労の有無にかかわらず施設の利用が可能に
    ・適切な規模の子どもの集団を保ち、子どもの育ちの場を確保
    ・既存の幼稚園の活用により待機児童が解消
    ・育児不安の大きい専業主婦家庭への支援を含む地域子育て支援が充実
    利用するお子さんについて3つの認定区分を設けています。 ご家庭の状況やニーズに合わせて選び、手続きしていただくことが必要ですので、ご確認ください。

  • 認定区分
    1号認定:教育標準時間認定・満3歳以上 → 認定こども園、幼稚園
    2号認定:保育認定(標準時間・短時間)・満3歳以上 → 認定こども園、保育所
    3号認定:保育認定(標準時間・短時間)・満3歳未満 → 認定こども園、保育所

  • ■利用手続きの流れ(イメージ)
    (1号認定の場合)

    (2号・3号認定の場合)

<質問9>夏休みの過ごし方は?

  • 普段は仕事で、子どもとなかなかじっくり関われないのですが、4歳の長男、2歳の長女と一緒に、どんな夏休みを過ごそうかと考えています。親子でどんな経験をするといいでしょう。

  • <回答9>
    「恐竜博物館に行くよ」「おじいちゃんの家でお泊まりするの」と、子ども達もわくわくして待っている夏休み。有意義な体験をして、親子で楽しみたいですね。
    実は、近年の研究によると、「乳幼児期に脳を育てる」ための秘訣は、五感の刺激や親子のふれあい、楽しんでたくさん身体を動かすことだとわかってきています。
    例えば、おじいちゃん・おばあちゃんの家に遊びに行って、畑の野菜を収穫して食べる経験とか、近くの川でザリガニをつかまえて遊ぶ経験などはいかがでしょうか?エサを何にするかを調べるために図書館で図鑑を借りてみるとか、夏休みの間飼育し観察するとか、自然に触れてわき上がった興味・関心は、いろいろなことに広がります。しかも、親子の対話が、ますます体験を有意義なものにしてくれます。
    お子さんが小さい場合、人混みや遠方がたいへんなことも多いと思います。ふるさとの自然や人とふれ合って、お家の方もお子さんと一緒にどうぞお楽しみください

<質問10>ひらがなに興味をもってくれないので心配

  • 4歳児の長男が、ひらがなに全く興味・関心を示しません。友達の女の子は、ひらがなをすべて読むことができると聞いて、あせっています。どうすれば、興味をもってくれるのでしょうか?

  • <回答10>
    他のお子さんが「できる」と聞くと焦りますよね。でも、急にドリルをさせるなどの方法は、興味関心が膨らむことにつながるのは難しいため、おすすめできません。生活や遊びの中で、ひらがなに興味を持つように、ご家庭での環境をちょっと一工夫してみましょう。
    例えば、寝る前に、大好きな絵本を読み聞かせしてあげることはどうでしょう?お気に入りの絵本があって、同じ絵本を読んで欲しいとねだられたら、繰り返して構いません。そして、いつでもお子さんがその絵本を自分で手にとれるようにしておくといいですね。(できれば、表紙が見えると、より絵本を手に取りやすくなります。)大切なことは、ご家族とふれ合いながら、絵本の世界を楽しむ習慣をつくっていくことです。自分で絵本を開くことが、読書の最初のステップとなりますね。
    他にも、身の回りの文字を少しずつ増やす方法も有効です。例えば、片づけの習慣づけと一緒に、「つみき」「くつした」など、引き出しに大きめのラベルをつけるなどの工夫もあります。お子さんは、生活の状況と関連づけて、文字の読み方と意味を理解するようになります。
    持ち物に、大きく名前を書いてあげるところを、お子さんに見せるとか、車に乗っている時に、一緒に看板のひらがなを見つけて楽しむとか、いろいろな体験を親子で楽しむといいですね。

<質問11>小学校の入学が不安

  • 長女が年長になり、友達のお母さん同士でも小学校入学の話題が増えてきました。この時期に大切なことはどんなことか、分かる資料はありますか。

  • <回答11>
    はい。福井県幼児教育支援センターが、5歳児と1年生の時期(接続期)に大切なことをまとめて、「福井県保幼小接続カリキュラム」を作成しました。 "学びに向かう力"を育むことや、5歳児で経験するとよい内容が示されています。また、遊びの場面に、「学びの芽生え」があることも分かりやすい例で出ています。読みきかせや対話、言葉遊びが大切だということ、玉入れなどの遊びで「数と量」の学習の芽生えがあること、友達とのかかわりで自己調整力が育つことなど、子どもの遊びや環境を見るヒントになります。どうぞ参考になさってください。

  • 「福井県保幼小接続カリキュラム」はこちら

<質問12>タブレットで子育て

  • 生後10ヶ月です。タブレットのアプリを見せていると一人で大人しく上手に遊びます。正直助かるのですが、よくないこともあると聞きました。どんなことがいけないのでしょうか。

  • <回答12>
     「タブレットのアプリによる"いないいないばあ"で赤ちゃんがおとなしくなる」といった子育ての風景が増えてきているようです。子供の発達に与える影響について、ここでは心理学者ボウルビーの理論などをもとにご説明します。赤ちゃんは、①「誰からの働きかけにも喜びや興味を示す」→②「日常でより関わりのある特定の人物(母親の場合が多い)に対して愛着を示す」→③「特定の人物(母親)に対する明確な愛着が作られ、見知らぬ人には"人見知り"が見られる」→④「特定の人物(母親)がいなくても、帰ってきてくれることがわかっていれば、安心して活動できる」という発達の段階を経ていくといわれています。10ヶ月は③の段階だといわれています。このように正常な発達をしていくためには、特定の人物(母親)とのアイコンタクトやスキンシップがとても重要です。母親が子どもにとっての心理的な「安全基地」だと感じられ、初めて子どもは一人遊びなどに挑戦できます。おとなしく手がかからないことより、子どもの健やかな成長につながるかかわり方をしたいものですね。表情豊かにお子さんにかかわってくださり、抱っこしたり一緒に遊んだりする時間を大切にしましょう。

<質問13>保育所と幼稚園の違いは?

  • 2歳です。来年から入園させようと思います。地域に保育所と幼稚園がありますが、どちらに通わせるとよいのでしょうか。何が違うのですか。

  • <回答13>
    認定こども園や幼稚園の延長保育等、様々な園の状況があり、保育所・幼稚園のどちらも幼児期の保育・教育を担っています。「共働きで送迎のしやすいところがよい」「急な発熱等で祖父母が迎えに行きやすいところがよい」等、ご家庭の状況に合うかどうかをご家族でお考えいただくとよいでしょう。保育時間の違いや、給食・弁当の回数、延長保育の有無等、具体的なことの情報は、園への問い合わせやホームページを参考にしてください。園の選び方のポイントを厚生労働省(2000)が示していますので、ここではそちらをご紹介します。①市区町村の保育担当課等で情報の収集や相談をする。②施設を見学してみる。③キャッチフレーズ、建物の外観や壁紙がきれい、保育料が安いなど、見た目だけで決めない。④見学のときは、子どもたちがいる保育室の様子を見せてもらう。⑤子どもたちの表情がいきいきとしているか見てみよう。⑥保育する人の数が十分か聞いてみる。などです。さらに②については、静かに眠れる場所があるか、子どもが動き回れる十分な広さがあるか、遊び道具がそろっているか、外遊びをしているか、陽あたりや風通しがよいか、清潔か、災害のときのための避難口や避難階段があるか、保育する人が笑顔で子どもたちに接しているか等、様々な視点があります。これらの情報を元に、お子さんにあった園を選んであげてください。

<質問14>授業についていけるか心配

  • 幼稚園の年長です。字を書くことや足し算引き算が、よその子よりも遅いようです。小学校に入学して、授業についていけるか心配しています。今から何かトレーニングしておいた方がよいのでしょうか。

  • <回答14>
    5歳児ができることの目安を、様々な面から考えてみましょう。まずは「基本的生活習慣」です。規則正しい生活リズムが確立している、箸を使って食事ができる等ですね。次に「社会性」です。友達と一緒にルールを守って遊ぶ、自分の思いや考えを相手に伝える、相手の思いを聞こうとする等です。最後に「学力」です。一般的に言われる学力は、読み書きや計算能力、記憶力があります。遊びを通して、興味関心を広げる・自己調整力を身につける・環境への気付きがある等、幼児期ならでは大切な学びがあります。ドリルを繰り返したり、嫌がっているのに無理強いするのは、興味や意欲をなくすことにつながることもありますので、子どもの興味関心や意欲を膨らませることを中心にお考えいただくのがよいでしょう。絵本の読み聞かせを毎日楽しむことは、語彙を増やし、想像力等を培い、自分で絵本を読もうとする意欲につながります。腕や肘、手首や指の関節が十分に動くような絵や迷路遊びに親しむ遊びも、文字を書くことにつながっていきます。生活の中でおやつを分けたり、大きさや長さを比べたり、重さを測ったりすることは、数や量への興味関心につながります。自然に触れたり、空き箱や砂等身近なもので遊んだりして、遊びや生活の中で豊かな体験をたくさんすることが大切ですね。

<質問15>保育園や幼稚園に通わせるのは

  • 3歳です。自宅で子育てをしたいと思い、保育園や幼稚園に通わせるのは、年中や年長からでもいいと思っています。どうしても、年少から園に通わせたほうがいいですか。

  • <回答15>
    ここでは、自宅でもできることと園でしかできないことを区別して考えていきましょう。文部科学省は、乳幼児期に身につけておいてほしいこととして次の4つを指摘しています。①愛着を形成すること(質問1参照)、②基本的な生活習慣を身につけること、③他者からの承認などにより「自分は存在するだけで認められている」という感覚(自己肯定感)を持てること、そして、④道徳性や社会性の芽生えとなる遊びなどを通じた子ども同士の体験活動を充実させることなどです。このうち、保育園や幼稚園でしかできないことは、どれだと思われますか。最後の④「子ども同士の体験活動を充実させる」というのは、家族以外の人ともふれ合って、様々な感情体験をすることです。3歳ぐらいのお子さんは、友達と一緒に遊ぶのが楽しいと感じることが大切といわれていますから、園に通うことで、そのような機会が増えるかもしれませんね。ご家庭の状況は様々でしょうから、状況に応じてお考えくださるとよいでしょう。

<質問16>知育玩具の選び方

  • 1歳です。知育玩具は子どもの教育によいと聞きます。どんなものがよいのでしょうか。

  • <回答16>
    おすわりをする満7ヶ月頃から、手の動きが活発になり、1歳ぐらいになるといろいろな手の動きをするようになります。子どもはおもちゃがなくても身の回りのものを使って遊ぶ名人ですが、発達に応じたおもちゃを与えてあげることで、より質の高い遊びが可能になり、思考力、想像力、創造力、判断力など、生きていく上で大切な力が養われます。福井県幼児教育支援センターでご紹介しているグッド・トイは、子どもの好奇心を刺激し、心と体のバランスのとれた成長を促すことを目的としたものですので、ホームページ等で一度ご覧ください。子どもは「楽しい!」と感じている時にたくさんのことを学びます。積極的に遊びに向き合う中で新しい発見を繰り返し、自然と学んでいきます。例えば、知育玩具として代表的な「積み木」は、木の感触を手や口で確かめながら、形の概念を学ぶことができるといわれています。1歳頃のお子さんですと、口に入れることも考えられるので、自然素材の安全な物を選んであげるとよいでしょう。今は、多くの知育玩具があります。地域子育て支援センター等にある様々なおもちゃでお子さんを遊ばせてみて、ご本人が喜んだり、興味を示したりするおもちゃを探してみるのもよいかもしれませんね。

<質問17>本好きになってほしい

  • 4歳です。絵本が幼児教育によいと思い、いろいろ読み聞かせをしようとするのですが、あまり興味がないようです。勝手にページをめくったり、ちゃんと話に耳を傾けなかったりします。本が好きになってほしいです。どうしたらいいですか。

  • <回答17>
    保護者の方の、絵本はしっかりと最後まで読んであげたいと思う気持ちが伝わってきます。小さいお子さんはいろんなことに興味を示し、読み聞かせの途中で気持ちが他にいってしまうことはよくあることです。したがって、最後まで読まなくてもいいのです。絵本の時間をお子さんと一緒に楽しむ気持ちで過ごしてみてください。お母さんの優しい語りかけや、お母さんが楽しそうに読む声は、たとえお子さんがちがう方向を見ていても、耳には届いています。絵本のページをすぐにめくってしまうのは、お話や絵に興味を持っているからでしょう。お話を短く読んであげてもいいのです。絵を一緒に指差してお話するだけでも楽しい時間になるでしょう。いろんなテーマの絵本や、しかけ絵本、ゲーム絵本など様々な絵本があります。お子さんが興味を示す絵本を見つけてあげることも1つですね。絵本に興味がないのかと思っていたら、急に興味を示す時期がくる子もいるようです。お家の方が一緒に楽しめる方法で、気長にお子さんと絵本に触れ合ってみてくださいね。

遊びや生活について

<質問1>砂遊びは教育によい

  • 2歳です。砂遊びが教育によいと聞きましたが、近くにありません。どうしたらよいでしょうか。

  • <回答1>
    90年代に「人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ」(ロバート・フルガム著)がベストセラーになりました。その本にもあるように、幼児期において砂遊びは、砂に触れることによってその手触りや質感、道具を使う工夫や造形、友達とのかかわりで人とのつながりを学ぶなど、大事な場であると考えられていますし、近年も多くの研究者が幼児期の砂遊びの有効性を認めています。一方で、犬や猫の糞害等により砂場の安全性を疑問視する声も聞かれ、衛生面の不安から、砂遊びを敬遠する保護者の方もおられるようですし、砂場を設置しない公園も増えているようです。厚生労働省(2009)が出した「保育所における感染症対策ガイドライン」には、保育所での定期的な砂場の衛生管理が明記されていますし、日本保育協会の調査では約7割の園が日光消毒、約5割が消毒液による消毒を行っています。お子さんが保育園や幼稚園に入園されれば、園庭の砂場で遊ぶことができますので、入園前のご見学の際に、砂場の有無や外遊びの内容を確認されるとよいでしょう。砂遊び以外にも、お子さんの五感を刺激する様々なおもちゃがあります。福井県では、グッド・トイや絵本で、お子さんとふれ合いを持つことを進めています。他にも草花遊びや虫探し、お絵描きやブロック、おままごとなどお子様の想像力や創造性を広げる遊びは多くあります。ご家庭の状況やお子さんの興味に合わせて工夫されるとよいでしょう。

<質問2>絵本の選び方

  • 3歳です。年齢や興味関心にあった絵本を選んであげたいのですが、選び方が分かりません。参考にできるような情報はどこで得られますか。

  • <回答2>
    3歳をすぎる頃には、絵本の楽しさを理解し、繰り返し何度も読んでほしいとせがんだり、少し長いストーリーの絵本でも集中したりできるようになってきます。絵の美しさやページをめくるたびに新鮮な展開がある絵本を好むことが多いようです。また、この頃には自分の好きな物がはっきりしてきますので、動物、電車、昆虫、キャラクターなどその子が好きな物が題材になった絵本を選ぶこともよいでしょう。福井県出身のかこさとし氏の絵本は、長い間子どもたちに親しまれてきたよい絵本がたくさんあります。「おたまじゃくしの101ちゃん」「だるまちゃんシリーズ」等是非一度読み聞かせてあげてください。年齢別、テーマ別にお子さんの年齢や興味・関心に応じて本を検索することができるサイトもあります。また、福井県立図書館では、毎週土曜日に3歳以上のお子さんを対象とした「おはなしのへや」という企画を行っています。そのような企画にお子さんと参加されることで、お子さんの反応も見ることができますし、ご家庭での読み聞かせの参考にもなるでしょう。各市町村の図書館でも同様の催しを行っていますので、是非ホームページ等で確認してみてください。

<質問3>テレビの悪影響

  • 3歳です。祖父母と過ごしている時間はいつもテレビがついたままです。テレビにはどんな悪影響がありますか。

  • <回答3>
    おじいちゃん・おばあちゃんに限らず、テレビを見せておくのは、「しばらくおとなしくしていてくれるので楽」という理由からという方も多いのではないでしょうか。今は、テレビからタブレットのアプリに移ってきているようですね(質問1参照)。
    テレビについていえば、多くの研究者が、0-2歳頃まではメリットよりもデメリットが多いと考えているようです。お子さんは3歳ということですから、幼児番組を見て楽しんだり、新しい知識を得たりというようなメリットが考えられますし、タブレットのアプリなども様々なものが出てきているようですね。テレビにしてもタブレットにしても、お子さんとそのツール(道具)とだけで完結しているという状態よりも、ツール(道具)を介しながら、お子さんと大人がコミュニケーションをとる時間になっているとよいのではないでしょうか。刺激に対して受け身な時間を長く持っていることより、大人も一緒に見ながら「おもしろかったね。」等、共感したりわかりにくいところは説明してあげたりして、お子さんの興味関心を広げてあげましょう。

<質問4>家族と過ごす時間

  • 3歳です。核家族で、夜遅くまで保育園に預けていることが多いです。家族と過ごす時間が少ないことで、これからの発達に影響がありますか。

  • <回答4>
    仕事がお忙しい中で夜間保育園に預けながらの子育て、本当にお疲れ様です。子育てへの不安もごもっともですが、浜松医科大学の安梅勅江教授(2002)の研究結果によれば、「保育園で過ごす時間が長くても、子どもの発達にはほとんど影響しない」とのことです。先生は「短時間でも親子が適切にふれ合い、質のよい子育てをすれば子どもの発達に問題はない」と話されています。では、質のよい子育てとはどういうものでしょうか。ここでは、ウィリアム・グラッサー博士の選択理論から、「クオリティタイム」という考え方をご紹介しましょう。「クオリティタイム」とは、人と過ごす良質な時間のことで、良質であるためには、主に次のようなことが望ましいといわれています。テレビなどを一緒に見ているよりも、今日保育園であったことなどを振り返って話すなど、お互いを意識できる時間がより望ましいですね。継続性が大切なので、毎日さりげない対話を続けるとよいでしょう。お子さんが話したがらないのに無理矢理聞き出そうとすると、気持ちを話さなくなってしまうこともあります。お子さんを怒ったり非難したりせずに、できたことに焦点を当てて認めてあげるといいですね。「継続は力なり」です。是非トライしてみてください。

習い事や塾について

<質問1>英語や算数の塾

  • 2歳です。他県に嫁いだ妹から、都会では小学校就学前から、英語や算数の塾に通うのが普通だと聞きました。福井県では、幼稚園児や保育園児のための塾はありますか。また、月謝はいくらほどでしょうか。

  • <回答1>
    お子さんの教育について、とても関心がありいろいろ心配されているのですね。都市部では、"お受験"などとよばれ、希望する小学校への入学選抜での合格を目的に塾へ通うという場合も多いようですから、福井県の一般的な状況とはやや異なるといえるでしょう。福井県でも幼児用の塾や家庭教師はありますが、詳しい情報はそれぞれのホームページでご確認ください。
    質問1や質問3にありますように、乳幼児期に大事なことはいわゆる勉強以外に多くあります。福井県でも、人間形成の基礎を培う上で大切な幼児教育のあり方を検討し、家庭や地域、保育所・幼稚園、小学校の連携を強めて、本県の特性を活かした福井型幼児教育の実現に努めています。本ホームページの「どうしたらいいの」などを参考にしていただきながら、乳幼児期に大切な関わりを考えていかれることをおすすめします。

<質問2>習い事はいつ頃から

  • 3歳です。ピアノやスイミングなどの習い事をさせたいと思っています。習い事はいつ頃からどのようなものを始めるとよいでしょうか。

  • <回答2>
    質問は、「どの習い事がよいのか」「それはいつ頃から始めるとよいのか」の2つに分かれていますね。習い事をさせることでお子さんの可能性を伸ばしてあげたいという気持ちは、多くの保護者の方の思いでしょう。ご兄弟やお友達の影響等、お子さんが興味関心を持つにはいろいろな背景がありますので、お子さんの様子を見られたり、ご家族でよく話し合われたりしてお考えくださるとよいでしょう。文部科学省(2007)の調査では、小学3年生の約8割がやっている習い事を「好き(とても好き+まあ好き)」と答えていますから、多くの場合、お子さんも興味関心をもって取り組んでいるといえるでしょう。また、ベネッセ(2008)の調査では、保護者の方が「させてよかった」と考えている習い事は、男子がスイミング、サッカー、野球などのスポーツ系、女子がスイミングに楽器などのお稽古系が上位を占めるようです。
    いつ頃から始めるとよいのかについては、お子さんの生活リズムが狂わないように配慮する必要がありますので、時間帯やスケジュールに無理のないようにしましょう。習い事が絞られてきたら、実際に通うことになるところに直接お問い合わせいただくのがよいのではないでしょうか

<質問3>ワークブックの効果とは?

  • 2歳です。市販のなぞり書きやシール貼りのようなワークブック<は効果があるのでしょうか。いつ頃から始めると良いでしょうか。

  • <回答3>
    早期教育が注目されて久しく、たくさんの教材が世の中にあふれていて、どんなものをいつから始めたら良いのか、迷ってしまいますよね。2歳ごろには、指や手首がしなやかに動くようになり、両手の指の共同作業が可能になってきます。鉛筆やクレヨンで円を描くこともできるようなってきますし、3本指をつかって、細かな作業ができるようになってきますので、なぞり書きやシール貼りはお子様の発達段階に合っているといえるでしょう。なぞり書きは、文字の早期習得を目的に始められる方が多いようです。確かに、読み聞かせを中心とした早期の働きかけをされた子どもたちは、読書量が多く、語彙が豊富であるという研究結果も出ています。一方で、お茶の水女子大学の内田伸子教授は、3~4歳で文字を習得している子と習得していない子との差は小学校入学後に急速に縮まり、1年生の9月には両者の差は消えてしまうとも指摘しています。むしろ国語嫌いは「行き過ぎた早期教育」を受けた子に多かったという研究結果もあるようです。このように考えると、保護者の方の"勉強できるようになって欲しい"という期待は自然なことではありますが、お子さんが"やらされ感"が強くなってしまっている状態は避けたいものですよね。

<質問4>体育教室に通うこと

  • 5歳です。子どもの運動神経は6歳までに決まると聞きました。運動が苦手なようですが、体育教室に通わせたほうがいいですか。

  • <回答4>
    教育に関する情報に限らず、「〇歳までに決まる!」というような表現が多く見られます。実証的な裏付けがある場合にはよいのですが、このような表現は保護者の方の不安をあおるような可能性も考えられます。お子さんの教育を考える際には、まず、保護者の方自身の不安や焦りが大きく関係しているかどうかを、ご自分で振り返ってみることをおすすめします。もちろん、不安や焦りのない方などいらっしゃいませんが、センセーショナルな見出しなどに振り回されるということは避けたいものですよね。さて、一般的に4~6歳頃は、基本的な体の動きを習得し、全身運動に加え縄跳びやボールなどを使えるようになり、リズム感やバランス感覚や力の加減等を覚える時期といわれています。特定のスポーツもよいのですが、東京学芸大学の杉原隆名誉教授が指摘するように、特定の運動を集中的に教えるよりも自由に遊んだ方がいろいろな動きを経験でき、運動神経の向上に良いともいわれています。まずは、公園の鉄棒やうんていにぶら下がったり、家族でキャッチボールをしたり、鬼ごっこをしたりして、身体を十分に動かして楽しむ経験をたくさんさせてあげましょう。

<質問5>英語を習うこと

  • 3歳です。英語は、幼児期に始めると覚えがいいとききました。早く始めたほうがいいのでしょうか。

  • <回答5>
    ここでは、英語に限らず、いわゆる早期教育の一般的なメリットとデメリットをまずご紹介しましょう。早期教育のメリットの最も大きなものは、早期に教育をすることでお子さんの可能性を最大限に伸ばせるという点でしょう。大脳生理学的な根拠をもとに主張されることが多いようです。一方、早期教育のデメリットとしては、子どもの興味関心に基づいていない場合が多く、自主性や主体性等の獲得に懸念が生じるという点が一般的に言われています。
    英語の早期教育についても、リスニングやスピーキングの力をつけやすいと、そのメリットを主張する立場と、まずは日本語をしっかり身につけるほうが望ましいと反対の立場もありますよね。英語の早期教育を考える際には、親子での日本語のコミュニケーションも十分に行う、保護者の方の押しつけ的な学びになっていない等を考慮しながら、お子さんが楽しんで取り組めるとよいですね。

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