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16-18歳(生活編)
<質問1>息子がカウンセリングをすすめられたが受けた方がいいのか?
高校2年男子です。小学校の5、6年の頃から、教室内で友達と話すときに緊張にするようになり、疲れてしまい、時々学校を休んだりするようになりました。今は進級できる程度に学校を休んだり、行けた時にも保健室や相談室を利用しながら学校生活を送っています。最近、教育相談の先生に、この状態がこれからもずっと続くのかと思うと辛くなると言ったところ「カウンセリングを受けてみないか」と言われたのですが、カウンセリングを受けた方がいいのでしょうか?
<回答1>
大変な状況の中でよく頑張ってこられましたね。すごいと思います。
さてご質問についてですが、ひょっとすると「カウンセリングを受ける」という表現に主体性を奪われる不安を感じるのかもしれませんね。あるいは「精神的におかしい」といったレッテルを貼られたように感じられたのでしょうか。カウンセリングを受けるか、他に方法はないか、独力で解決できないか・・色々と迷いますよね。
ここでは、カウンセリングを受けるかどうかを決める手助けになればと思い、カウンセリングのやり方をご説明しようと思います。本当に人間には色々な悩みや苦しみがあり、カウンセラーといっても、あなたと同じように悩んだり、苦しんだりしながら生きている存在なのです。そんなカウンセラーが、あなたに「こうすれば悩みは解決しますよ」とか「苦しみからぬけ出せますよ」とか「正解はこれです」・・とアドバイスなどとてもできません。ほとんどの悩みや苦しみは本人にしか解決できないものなのではないでしょうか。不安を克服できるのは本人だけで、そうした感情を抱えた上でどう生きるかの問題なのではないかと思っています。カウンセラーは、あなたが独力で難しいと感じ、誰か一緒に考えてくれる人が必要と感じたとき、あなたに会って、お話を聞きながら、あなたの主体性、考え、体験というものを大切にしながら、一緒に解決の道を探っていく、悩みに取り組むことをお手伝いすることができます。「一緒に考えていきましょう」というのがカウンセラーにできることです。
そこでもしあなたが、今のやり方で周りに支えられて、色々と努力して、その甲斐あって独力で解決できたとしたら、乗り越えられたとしたら、これは、あなたにとってかけがえのない経験となり将来の何かに役立ち、これからの人生を支えるような、財産ともいうべき自信をもたらすでしょう。
といことで、カウンセリングを受けるか、受けずに独力でやってみるかを決めるのは難しいですが、それを決める権利をもっているのはあなたです。こちらが強制できることではありません。どうすべきかの判断できるのはあなただけです。
<質問2>娘が親の財布からお金を盗んでいる
財布の中のお金が減っているように感じる時があり注意していたところ、高校生の娘がお金を盗っていることが分かりました。それからは財布の管理を厳重にするようにしましたが、今後、万引き行為などに発展するのではないかと心配です。
<回答2>
娘さんは高校生ですから、「ひとのお金をとるのは悪いこと」と理解した上での行為です。なぜ「お金が欲しい」という気持ちのほうが勝ってしまったのか、しっかり話を聞いてあげてください。親に欲しいと言えない,言っても理解してもらえないと思っているのかもしれません。いじめなどの背景があり、親に言うことで親に心配をかけてしまうと思っているのかもしれません。「そうなんだね。そう思ったんだね。」と娘さんの気持ちを受けとめながら話を聞いてあげてください。その上で、お子さんに自分がしたことについての反省を促し、状況に即して責任を取る経験を与えることが、子どもの将来のために必要でしょう。最初に適切な対応をすることができれば、万引き行為などに発展することはそれほど多くありません。
しかし、窃盗の対象物には関心がなく、窃盗の最中の緊張感,成功時の開放感や満足感を得ることを目的として窃盗を繰り返してしまう場合があります。この場合、行動障害の一種であるため自分の意思だけで解決することは難しく、専門医による治療が必要となります。ご心配な場合は、専門医の受診をおすすめします。
<質問3>悩む娘にどうアドバイスする?
先日、娘から友達づきあいが出来ないと悩みを聞きました。「友だちと上手く話せない。友だちと話していても会話が続かない。なんて答えたらいいか分からなくなり何も言えなくなって気まずい雰囲気になってしまう。学校にも行きたくない気持ちになる。」と言っています。娘は子どもの頃、病院でコミュニケーションが苦手な部分があって発達障がいの疑いがあると言われたことがあります。娘にはどのようにアドバイスをしたらよいでしょうか。
<回答3>
一般的に、コミュニケーションが上手な人というと、会話を盛り上げるような人を思い浮かべると思います。娘さんが自分は口下手だから無理と思っているのかもしれません。コミュニケーションで大切なことは、相手の話をきちんと聴き、その場その場に応じて相手と言葉や気持ちのやりとりすることだと思います。自分が相手にどう思われるかと気にしていると、なかなか相手の話に集中できないことがあります。まず、相手の話を集中して聞くことができると自然に振舞うことができると思います。
<質問4>アルバイトはやらせていい?
高校1年生の男の子です。最近、ゲームのソフトなどほしいものがあり、お小遣いだけでは買うことができないといいます。アルバイトをし、自分でお金を貯めて買うと言いだしました。学校では、規則があり、だめなはずですが、親としては、自立のためにはバイトもよい経験になるのかもしれないという思いもあります。認めてもいいのでしょうか?
<回答4>
社会で働く経験は、成長していく段階での自立としてはいい経験になるでしょう。しかしながら、学校で禁止されていることを親が知りながらやらせてみるということは、ルールを無視することを認めることになりますよね。これから社会に出て行く上で、ルールを無視することを保護者が容認することはよくないことではないでしょうか。
福井県では、多くの学校でアルバイトを禁止しています。いつ学校に知られてしまうか、不安な気持ちでアルバイトをやっても、よい経験にはならないのではないでしょうか。自立の経験として何かをやらせてみたいのであれば、ボランティア活動などを考えてみてはどうでしょうか。
ボランティア活動を通して、自己理解が深まり、社会を取り巻く人々や社会全体に対する理解や興味関心が育つかもしれません。そのがんばりによっては、息子さんのほしいゲームソフトをご褒美に買ってあげてもよいかもしれませんね。自立心が育ってほしいという保護者の願いとゲームソフトがほしいという息子さんの願いの両方かなえられるといいですね。
<質問5>性的マイノリティについて
娘は高1女子です。自分の性別に対して違和感を感じているようです。どうしたらよいでしょう。
<回答5>
性同一障がいを抱える児童生徒の認知数は年齢進行で増加します。認知数の3分の2は高等学校です。学校生活の中では、服装や更衣室、トイレ、体育の授業(水泳など)、修学旅行などで困ることが多いようです。また、このような悩みを周囲の人に伝える児童生徒は約2割にしか過ぎません。
学校では、例えばトイレの使用については職員トイレや多目的トイレの使用を認めるなどの対応を取るところもありますが、十分なサポートはこれからの課題になっています。他人に打ち明けにくい悩みなので、気づいた人が本人の気持ちにより添いながら、環境を整えていくことが望まれます。
性同一性障がいについての相談は、精神保健福祉センターなどで受け付けています。また、教育研究所教育相談部でも本人の気持ちを聞きながら、学校環境を整える支援ができます。
<質問6>自転車通学が始まる
4月から高校生になり、自転車通学が始まります。どんなことに注意すればよいでしょうか。
<回答6>
ここでは、文部科学省が作成した「健康な生活を送るために(高校生用)」(2015)をもとに考えてみましょう。
まず、自転車の事故について、中1~高3で事故が最も多いのは、高校1年生です(警察庁、2013)。はっきりとした理由は明らかではありませんが、通学路や通学環境に対する不慣れ、通学路の距離、自転車通学の経験の乏しさや運転技能の低さなどが考えられます。
次に、自転車の事故は、相手が車か人かによって結果が大きく異なります。相手が車の場合、自転車運転者の99.6%は負傷または死亡しますが、相手が人の場合には相手の人の93.5%を負傷または死亡させ、加害者になってしまいます。何千万という高額の損害賠償を請求されるケースも報道されていますね。自転車用の保険もかけてあげてください。
多くの保護者は、自転車を乗れるように一緒に練習してあげたことがあると思いますが、ルールを教えたことは少ないのではないでしょうか。以下に「自転車安全利用五則」を示しますので、本格的な通学が始まるまでに、しっかりと教えてあげてください。
1.自転車は車道が原則、歩道は例外
2.車道は左側を通行
3.歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行
4.安全ルールを守る(二人乗り・並進・スマホ使用の禁止、夜間はライト点灯など)
5.子どもはヘルメット着用
<質問7>ゲームにハマって起きられない
高1男子です。パソコンでゲームばかりしています。朝起きるのもつらいようです。取り上げた方がよいでしょうか?
<回答7>
ご心配ですね。お子さんは、ゲームに「ハマっている」状態かもしれません。これが「依存」になると、より深刻です。この問題は、「13-15歳、生活編」でも取り上げていますが、「依存」の問題は深刻化していますので、あらためて考えてみましょう。
精神科医の和田秀樹先生によれば、依存とは「我慢ができなくなる病気」だそうです。
多くの場合、以下のような悪循環を経て、ゲーム依存という病気になっていくようです。
1 学校でイヤなことがあったりすると、ゲームをしている方が現実の世界より楽しく感じる。
2 より長時間やりたくなる。よりお金をかけたくなる。
(最近のゲームはそのようにできています)
3 朝起きられなくなるなど、日常の生活に支障が出てくる。
4 禁止や制限されると、腹が立ったり、不安になったり、無気力になる。
多くの保護者は、3の段階で「おかしいな」と気づきます。そして、取り上げに成功すればよいのですが、暴力的になる等でコントロールがきかなくなると、悪循環は続きます。深刻な依存状態を「ネットゲーム廃人」と表現することもあるようです。
依存は大人にも多い病気です。買い与えたら、しっかりとしたルールを作り、お子さんを守ってあげてください。
<質問8>「自分はみにくい」と言う
高2女子です。鏡を見ては、「自分はみにくい、鼻がもっと高かったら」などといつも言っています。親から見ると、それなりに普通だとは思うのですが、勉強も手につかない様子で心配です。
<回答8>
ご心配ですね。ここでは、そのような行動の背景にある心理を考えていきましょう。高校生は青年期のまっただ中にいます。子どもから大人への移行期であるこの時期には、2つの矛盾した自分が混在しているといわれます。「子どもと大人」「依存と自立」「理想と現実」などなど。中島敦の「山月記」という小説では、この心理を"尊大な羞恥(しゅうち)心"と"臆病(おくびょう)な自尊心"と表しています。この場合のお子さんは、「理想と現実」に悩んでいると考えてよいかもしれませんね。
さて、この悶々(もんもん)とした気持ちをどう支えてあげることができるでしょうか。その方法の一つに、「話を聴く」ことがあげられます。「あなたはきれいだよ。そんなふうに思いつめるのはやめなさい。」とアドバイスすることもよいのですが、お子さんが語る葛藤を、ただ聴いてあげることで、答えは出ないながらも心はすっきりとし、日々の学校生活に前向きに取り組むことができるようになれるのではないでしょうか。福井大学の細田憲一先生は、このことを「聴き手が話し手を育てる」といっておられます。
ただし、「人と会うのが怖い」など日常生活に大きな影響がみられるほどでしたら、醜形(しゅうけい)恐怖症という精神疾患も否定できませんので、心療内科などへの受診をおすすめします。
<質問9>過呼吸がひどい
高1女子です。学校の先生から過呼吸になることが多いと言われました。どうしたらいいのでしょうか。
<回答9>
ご心配ですね。ここでは、臨床心理士の鷲尾真理先生の考えをもとにお答えします。過呼吸とは、簡単にいうと「空気を吸い込みすぎてしまう」状態のことです。こうなると、頭痛やめまい、立っていられなくなることもよくあります。10代の女子に多いのですが、最近は年齢を問わず増えてきているようです。きっかけは、興奮など感情が高まったときだけでなく、イライラしたり、不安になったときが引き金になることが多いようです。鷲尾先生は、過呼吸を起こしやすい子どもは、どこか寂しかったり、心が満たされない可能性があるようだと指摘していますが、もちろん、それに当てはまらない場合も多いでしょう。
過呼吸の症状は激しいので、周りも驚いてしまいがちですが、時とともに落ち着くことがほとんどなので、まずはあまり心配しすぎないようにしてください。放置するのではなく、努めてゆっくりと静かに声をかけ、そばについてあげていてください。紙の袋を口に当て、吐いた息をまた吸うようにすると効果的ですが、一番大事なのは、子どもの心がしっかりと地に着くこと、つまり気持ちが満たされることのようです。
ただし、他の病気の可能性もありますので、心療内科などで他の病気でないことを確かめておいた方が安心でしょう。
<質問10>頭痛がひどい
高1女子です。頭痛がひどいのですが、嫌なことから逃げているようにも思えるのですが。
<回答10>
心配ですね。思春期頃の子どもの頭痛には、片側が強くずきずきと痛む片頭痛と、全体が軽く、長く痛む緊張型頭痛が多いようです。日本頭痛協会のHPによりますと、高校生の片頭痛の有病率が5.8%という調査結果が示されており、学校生活に支障のある頭痛は多くの場合片頭痛であるようです。また、割合は少ないですが、何かの病気が隠れていて頭痛を引き起こしている場合も考えられます。頭痛がひどく、長期化している場合には、まずは頭痛外来(福井では済生会病院等にあります。)もしくは内科への受診をおすすめします。
頭痛に学校や家庭における心理社会的問題が関係している場合には、慢性化することがあり,不登校等の問題に発展することもあります。そのような場合には、「サボりたいだけじゃないの」という態度をとると、子どもは心を閉ざしていまいがちです。学校と連絡を取り合いながら、話をじっくり聞いてあげることで、心のなかの葛藤などがすっきりすることが多いようです。医療機関の治療とあわせて、お子さんを心理面でも支えてあげてください。
<質問11>ネットトラブルの相談機関
高2女子です。身に覚えのないお金の請求メールがきて困っています。相談できる専門機関を教えてください。
<回答11>
ご心配ですね。ここでは架空請求に限らず、スマホ等に関してトラブルがあったときに相談できる機関を紹介したいと思います。
1 まずは学校に相談しましょう。
2 お金にまつわることは「福井県消費生活センター」または「福井県嶺南消費生活センター」に相談しましょう。 3 いじめや性被害などの相談は、「福井少年サポートセンター」に、サイバー犯罪は「県警本部生活環境課」もしくは最寄りの「警察署生活安全課」に相談しましょう。
4 法務省が「インターネット人権相談窓口」を開設しています。子ども用のSOS e-Mailもあります。
5 「違法・有害情報相談センター」では、名誉き損、肖像権侵害、脅迫行為などの違法・有害情報に対する相談を受け付けています。
何か困ったことがあったら、すぐに話し合える雰囲気を作り、お子さんをネットトラブルから守ってあげましょう。
<質問12>発達障がいとは?
高1男子です。友人と話していたら、「小さい頃、発達障がいって言われたことない?」と言われました。発達障がいってなんですか?
<回答12>
それは驚かれたましたね。障がいという言葉はきつく感じられますよね。「発達障がい」とは、簡単に言えば、お子さんがもともと持っている特性(個性)によって、学校生活などで困ったことが起きている状態をいいます。具体的にいうと、授業中じっとしていられなくて授業についていけない、忘れ物が多くて勉強が遅れる、先生の指示を覚えきれずに授業においていかれる、友だちづきあいがうまくいかずに孤立する、あるいはからかわれるなどです。それらのことが、お子さんがもともと持っている特性(個性)と関係しているかについては、お子さんがもともと持っている特性(個性)を詳しく知ることが必要です。お子さんの特性は、専門機関でクイズのような質問検査を受けることで、ある程度分かります。もし、お子さんが学校生活で上のようなことで、とても困っているようであれば、一度相談してみるのもよいでしょう。
<質問13>友達と出歩くように
高1男子です。夏休み明けから、夜に友達と出歩くようになりました。どうしたらよいでしょうか?
<回答13>
高校生になると活動範囲が広がるのは自然ですが、時間にルーズになったり、保護者から見れば、つきあってほしくない友達と遊ぶこともありがちなことではあります。ご心配なお気持ちお察しします。では、お子さんはどのような気持ちで友達と一緒にいるのでしょうか。いろいろ可能性は考えられますが、多く聞くのは「その集団にいると自分が認められたように感じるから一緒にいる」という気持ちのようです。思春期にどんなに荒れていた生徒でも大半はやがて立ち直ります。そのきっかけとなるのが、「他人に必要とされる、頼られる、認められる」という体験のようです。お子さんは、もしかしたら夜に出歩く友達の中でしか認められることがないのかもしれません。学校で、家庭で「他人に必要とされる、頼られる、認められる」ような体験をさせてあげることが、変化に役立つことでしょう。学校と十分相談しながら、そのよう場を意識的に作っていけるとよいですね。
<質問14>不登校ぎみに
高1女子です。夏休み明けから学校を休むようになりました。先生は「相談室に来られるのなら来ては?」と言いますが、どうしたらよいでしょうか?
<回答14>
お子さんが学校を休んでいること、ご心配ですよね。先生が相談室へ誘っているのは、教室復帰への小さなステップとして有効であるといわれているからです。ただし、お子さんに相談室まで行くことのできるエネルギーがあるかを考える必要があります。お子さんは、いろいろなことが重なって学校に行きたくなくなったものと想像します。十分に家で休んだ方が遠回りのように見えて近道という場合もあります。学校の先生と話をなされる中で、お子さんの状態を理解してあげることが大切だと思います。また外部の専門機関に相談するのもよいでしょう。
<質問15>母親に甘える
高1男子です。急に体を寄せてくるなど、私(母親)に甘えてくるようになりました。正直気持ち悪いと思うこともあるんですが、どうしたらよいでしょうか。
<回答15>
体も大きくなったお子さんが、小さなお子さんのようにくっついてくると、正直気持ち悪いと思われることも無理からぬところだと思います。「急に甘えてくる」のにどのように対応したらよいか悩むところですよね。イギリスの小児精神科医ウィニコットは、次のようなことを言っています。「依存を否定して自立していくのではない。十分依存すると自立も早まるのだ」ここでいう依存を「子ども」、自立を「大人」として考えると、「十分、子どもをやってから大人になる」と言い換えることができるかもしれません。ご相談のお子さんは、何かきっかけとなるようなことがあって、子どもに返ったように甘えていると思われます。受け入れられる範囲で甘えさせてやることが望ましい時期であると考えられます。
<質問16>下痢がひどい
高2男子です。下痢がひどく、たびたびトイレに入ります。どうしたらよいでしょうか。
<回答16>
思春期や青年期の男子に下痢で悩むお子さんは多いようです。通常、便意は1日1回が普通とされていますが、心配事やストレスが強いと大腸が過敏に反応し、トイレにたびたび入ることになるようです。いつ便意をもよおすか分からないという不安はつらいものです。生真面目で神経質な性格の人に多いといわれています。多くの場合は思春期・青年期を過ぎると自然と治ることが多いといわれてきましたが、最近では大人の方も悩んでいると聞きますよね。ただし、腹痛には、上記のような「過敏性大腸症候群」ではなく、他の病気の可能性も考えられますので、一度専門機関を受診してみることをおすすめします。
<質問17>気分の波が激しい
高3女子です。気分の波が激しく、調子のいいときにはすごくよくしゃべるのですが、落ち込むとお風呂にさえ入ろうとしません。病気なんでしょうか。どうしたらよいでしょうか?。
<回答17>
青年期は、「疾風怒濤(しっぷうどとう)」の時期とも言われ、もともと精神的に不安定な時期と言われています。保護者の方が高校生の頃はいかがだったでしょうか。
ご相談のケースは、詳しい状況を聞いてみないと分からないところもあるのですが、調子のいいときと悪いときでは、波の幅がとても大きく、ご心配ですね。調子のいいときがそう状態といえるほどなのか、調子の悪い状態がうつ状態といえるほどなのか、それらはどのくらいの周期で来るのかなどを判断して、適切な援助をしてあげるとお子さんも楽になるのではないかと思います。ただ、心療内科等の医療機関への受診は、お子さんにとって抵抗感が強い場合が多いです。無理に受診を勧めずに、まずは、お母さんだけでも医療機関でご相談してみてください。
<質問18>「怖い」を連発
高1女子です。「怖い」を連発し、ありもしないことが見えると言ってすごくおびえています。心配です。医者に連れて行った方がよいでしょうか?
<回答18>
それは心配ですね。医療機関に連れて行かれることをおすすめします。ただし、ご家庭でも次のような対応を心がけてみてください。ありもしないものが見えるというお子さんに「そんなもの、いないのよ。何馬鹿なこと言ってるの」とは言わずに、「そう。何かが見えて怖いんだね。」などと受け止めてあげてください。それだけで落ち着く場合もあるようです。その上で「いつも怖いのはつらいね。お母さんも心配だから、相談できるところで診てもらって少しでも楽になろうね」などの声かけをしてあげてください。病気かどうかを決めつけずに、専門の医療機関に診断してもらいましょう。場合によっては、セカンドオピニオンといって、2つ以上の医療機関に相談することも考えてみるとよいでしょう。
<質問19>摂食障害か?
高2女子です。娘が使ったトイレに入ったら吐いたようなすえた臭いがしました。部屋のゴミ箱にはお菓子類の袋がいっぱいです。どうしたらよいでしょうか?
<回答19>
ご相談の状況は、お子さんが大量に食べては嘔吐を繰り返している可能性があります。若い女性に多く見られ、この場合には体重の増減が少ない場合があり、気づくのが遅れることも多いようです。また、ご相談のケースとは別に、食べる量が極端に少ない場合もあって、その場合には極端にやせていきます。このような症状は「摂食障害」と呼ばれています。この症状の背景には、「今の自分を大切にできない」という否定的な考えがある場合も多く、本人を支えるカウンセリングや家族の支え、お薬による治療などを行うことが有効とされています。ですので、できるならばご本人と一緒に、無理ならば保護者の方だけでも医療機関を受診されることをお勧めします。
<質問20>暗い表情
高2男子です。最近、暗い表情が多いので気になっています。大人しいので「からかわれてるということはないの?」と聞くと首を横に振るばかりです。どうしたらよいでしょうか?
<回答20>
ご心配ですね。「大人しい」性格を「自己主張をあまりしない」ととらえると、よくいえば「協調性がある」ともいえますし、その反対であれば「上手く断れない」タイプとも言えます。「大人しい」のはお子さんの個性ですし、今までそれで人付き合いも上手くやってこられたのでしょう。
ご相談のケースは、「最近、暗い表情が多い」とありますので、何か落ち込むようなことがあったと考えて良さそうですね。いじめやからかいを受けている可能性もありますが、その他、人間関係以外のことがあったのかもしれません。人は話を聞いてもらえることで、スッキリしたり、自分で解決への方向性を見つけたりします。お子さんが、今までの「自己主張をせずに上手くやってきた」方法では、上手くいっていないのであれば、やり方を変えてみるチャンスともいえます。特に「辛い」「悲しい」を言える場所は大事であるといわれています。ただ、この時期のお子さんは、保護者に本音を言わないことの方が多いですので、学校の信頼のおける先生に話を聞いてもらう等の方法が有効な場合もありますので、学校にご相談なさってみてはいかがでしょうか。
<質問21>自傷行為
高1女子です。娘の手首をみたら切り傷が何本もあり、びっくりしました。娘には今のところ何も聞いていませんが、不安です。どうしたらよいでしょうか?
<回答21>
自分で自分を傷つけているとしたら、不安だし、どうしてそんなことをするの?と思われますよね。どう対応してよいか分からないので、何も聞いていないというお気持ちも分かります。しかし、保護者の方に見えるように手を隠していないのであれば、勇気を持って「どうしたの」と聞いてあげてください。やめさせようとしたり、「なんでそんなことをするの」と問い詰めたりすることもよくないと言われていますが、かといって無視したり、見ないふりをすることもよい方向にはいかないことが多いようです。もし、傷が新しければ、しっかりと手当てしてあげてください。傷を見ると驚くと思いますが、できるだけ落ち着いて冷静に、「痛みは大丈夫?」などとお子さんを気遣ってあげてください。専門の医療機関への受診がよいと思いますが、ご本人が受診を拒否するケースも多く、そのような場合には、保護者の方だけで抱え込まずに、保護者の方だけでも受診され、援助を仰ぎましょう。>
<質問22>スマホに虜
高1男子です。スマホを買い与えたら、食事の時も手放さないようになってしまいました。どうしたらよいでしょうか?
<回答22>
スマートフォンに関しては、多くの保護者の方が悩んでおられるようです。福井県の2013年の調査では、高校生のスマートフォン・携帯の平均使用時間は約2時間でした。「食事の時に手放さない」のはいくつかの理由が考えられます。1つは、「ゲーム等がおもしろくてやめられない」などであり、また「LINEなどのやりとりにすぐに応えないといけないから手放せない」という場合もあります。前者は依存的な点が心配ですね。後者は友達から仲間はずれにされるのが不安という気持ちが背景にあるようです。まずは、お子さんがスマートフォンや携帯の何にはまっているかを理解してみましょう。保護者の方の中には、「高校生になると言うことを聞かなくて」とあきらめる方も多いようですが、スマホの管理は、保護者の方にしかできないことも多いです。上の問題に加えて、スマホには、個人情報の流出や出会い系などの被害にあう可能性、さらには、安易な投稿が加害者として世間に知られてしまう(例:コンビニのアルバイトが冷蔵庫にいる写真を投稿など)など、さまざまな問題があります。まずは、お子さんと話し合って「食事の時はスマホを使わずに家族で会話をする」ことを実現できるとよいですね。
<質問23>転校するには
高1男子です。欠席が多くなってしまい、進級できなくなってしまいました。どんな転校先があるのでしょうか?
<回答23>
それはご心配ですね。転校するなど進路変更もありますし、もう一度1年生をやり直すという選択もあります。ただ、下の学年の生徒と同じクラスになるというのは、プライドもあるでしょうから抵抗感はあるでしょうね。もちろん、もう一度同じ学年をがんばって進級、卒業した例もありますが、多くは、進路変更という選択のようです。進路変更の場合には、いくつかの点を考えながらお子さんにとってよりよい選択を考えていかれることをお勧めします。
1つは、現在のお子さんの状況です。例えば、「家から出たくない」「人に会うのを避ける」といった状態であれば、他の高校へ転校することを決めても、その学校に通えるようになるかどうかは疑問です。その場合には、転校先として、通信制高校(週1回の登校程度)や高校卒業程度認定試験の受験なども視野に入れておくとよいでしょう。お子さんが外出するエネルギーがあるようであれば、毎日通う高校もよいでしょう。ただ、県内での転校にはいくつかの決まり事がありますので、詳しいことは学校や外部機関にご相談ください。
<質問24>先生の暴言
高2男子です。「先生が暴言を言う」と家で怒ってます。これって体罰なんですか?
<回答24>
「何が体罰か」については、文部科学省はこのように言っています。体罰とは、「殴る、蹴る等の身体に対する侵害、正座や直立等特定の姿勢を長時間保持させる等の肉体的苦痛を与える懲戒」であり、これを法律で禁止しています。しかし、一方で「目に見える物理的な力により行われた行為のすべてが体罰に当たるわけではない」「目的、態様、継続時間から判断して教育的指導の範囲を逸脱しているかどうかが判断の分かれ目となる」ともしています。難しい表現ですね。殴る・蹴るは体罰ですが、正座や立たしも長時間ではなく、教育的指導の範囲であれば体罰ではないと考えられます。
さて、ご相談の件は「先生が暴言を言う」です。上のように肉体的苦痛ではないようですが、先生の言葉によってお子さんが心理的な苦痛を感じていたとしたら、先生の言葉は教育的指導としては効果的ではないといえるかもしれません。先生が言った言葉の内容と、どのような状況で言ったか(文脈)が分からないので、保護者の方も判断に困りますよね。学校に問い合わせるのは敷居が高いかもしれませんが、学校側は、指導の経緯についての説明をきちんとしてくれるはずですので、勇気を持って学校と話し合いをしてみてはいかがでしょうか。もしくは、学校以外の相談機関を利用されてもよいでしょう。