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13-15歳(生活編)
<質問1>中学生の息子に、つい小言を言ってしまいます
中2男子の母親です。朝や短い時間、部活から帰ってから就寝までの短い時間、つい毎日同じ小言(「もうユーチューブは終わりにしなさい。」など)を言ってしまいます。子どもからけむたがれているのもわかりますし、親自身も同じ事ばかり言っている自分が嫌になります。健康で部活も勉強も頑張って欲しいと思いますし、家ではリラックスして過ごさせてあげたいとも思います。どんな言葉かけをしたらよいでしょうか?
<回答1>
思春期のお子さんは小学校低学年のお子さんと違い、だんだん友達との関係が密になり、両親とはあまり話さなくなる傾向にあります。それでもこの子は学校で頑張っていると信じて支えてあげたいですね。「おいしそうに食べてくれて、お母さん嬉しいよ!」といったIメッセージ(主語は私(父・母))で肯定してあげると良いと思います。「あなたはいつもユーチューブばかり見ているよね。」といった否定のYouメッセージはあまり好ましくないかもしれません。「~しなさい。」という指示命令の言葉も子どもを信頼していないことになり、否定のメッセージになってしまいますので気をつけた方が良いですね。
「がんばって!」と言いたいところを言い換えて、「すばらしいね。」と認めたり、「楽しんでやろう!」とリラックスを促す言葉を伝えるのも良いかもしれません。受験生ですと「力を抜いていこう!」といった言葉も良いですね。
中学生のお子さんとのコミュニケーションが自然に増えるように、心配して監視するのではなく、信じて見守る気持ちも大切です。お母さんご自身が笑顔の習慣を持って、言葉以外の愛情メッセージもお子さんに伝わっていくと良いのではないかと思います。
<質問2>中学生の息子が親と話さなくなった
中1男子の母親です。子どもが小学校の高学年から最近親と距離をとるようになり、親と話さなくなってきています。母親としては学校での出来事など積極的に聞いてみるのですが、「うざい」と返され、何も教えてくれません。こんなものなのでしょうか?
<回答2>
小さい頃は何でも話してくれた子どもが次第に自分から離れていくのはさみしく感じますよ。しかし今回のご相談内容は思春期という発達段階からみると、きわめて正常な発達をたどっているといえます。
小さい子どもは、親や先生、身近な人などを手本とし取り入れることで自分を形成していくのですが、小学校高学年頃からは他者とは違った自分を意識するようになります。思春期になると同一化、同一性、理想、現実、失望――それらの間を揺れ動いたり、葛藤したりしながら、自分というものを確立してゆく段階となるのです。
そのため、周囲の大人に対する態度がこの時期変わるのは自然なことといえるのですが、ここで注意していただきたいのは、子どもが反発してくるからといって、親も応戦する必要はないということです。たとえば子どもから「あっちいけ」と言われたとしても、親は子どもに「あっちいけ」と言う必要はないのです。逆に、子どもからどんなことを言われても、あなたのことを気にかけて見守っているというメッセージを伝え続ける必要があります。
自分自身に親としての自信がないと、反発されたときに傷つきすぎて相手を攻撃してしまいがちです。日頃から、親として頑張っていることや、できていることを自分自身で認めてあげましょう。親として、めげないタフさも時には必要となるのです。
<質問2>
中学1年生男子の母親です。忘れ物が多く、何度注意しても直りません。親として何かできることはありますか
<回答3>
忘れ物が多い子には、一般的に「整理整頓が苦手」といった特徴がみられます。カバンの中や机の中、部屋の中などが散らかっているというようなことはありませんか。子どもの周りが散らかっている場合、家の中も同じように散らかっていることが多いようです。散らかっているのが普通の状態なので、自分の部屋が散らかっていても気にならないのです。子どもに「片付けなさい」と言っても家の中が片付いていないなら子どももやろうと思いません。まずは、家の中を見返して、お子さんと一緒に片付けてみてください。
また、中学生になると、親からの干渉を嫌がるようになるので、細かいことを繰り返し注意してもうるさがられるだけになってしまいます。忘れてもどうにかなるものについては目をつぶって、どうしても忘れてはいけないものについてだけ、きちんと声かけをして、確認したほうがいいように思います。
お子さんの忘れ物対策として、片付けと適度な声かけを実践してみてくださいね
<質問4>友達とのトラブル
中学校1年生の子をもつ母親です。子どもが「友達とトラブルがあった」と言って、元気がありません。どうしたらよいでしょうか。
<回答4>
友達とトラブルがあったと聞くと、「いじめ?」などと、心配になりますね。かつては、子ども同士のけんかは当たり前で、そうした経験を乗り越えることで人とのコミュニケーションの取り方を学んできました。ところが、最近は、子ども時代に1回でも友達関係でつまずいてしまうと、その後の対人関係に自信がもてなくなり、人と関わることに消極的になってしまうことが多いように感じます。目白大学教授の小野寺敦子先生は、友達関係を決める要因として、親子関係を、とりわけ愛着と情動制御を挙げています。愛着は、生まれてから数か月の間に形成され、子どもの心の中に安心感として内在化され、成人したあとも対人関係の枠組みになると考えられています。また、情動とは、平たく言えば"喜怒哀楽"のことで、情動制御とは、情動を押さえたり、調整したりするということです。つまり、家庭で安心して過ごせ、「怒り」や「悲しみ」などの情動のコントロールが上手にできるようになると、友達とのトラブルで困って落ち込んだ時に、家に帰って親に話を聴いてもらったり、励ましてもらったりすることができるため、つらいことがあってもその後元気に学校に行くことができるようになるということです。
お子さんがトラブルで困っているときには、対人関係を学ぶチャンスととらえ、ご家庭でお子さんの「つらさ」を受け止め、その「つらさ」を乗り越えるエネルギーを蓄えさせてあげてください。子どもの頃に、友達といると楽しい、嬉しい、友達はつらい時に支えてくれる、悲しい時に慰めてくれるといったポジティブな感情を育てていくことが大切です。そのためにも、ご家庭や学校で子どもたちが安心して過ごせる環境を作ったり、コミュニケーションについて学べるようにしたりしていきたいですね。
<質問5>体力をつけさせたい
中2男子です。運動部に入っていたのですが、やめてしまいました。やめてから、体力がなくなったように思えるのですが、どうしたらよいでしょうか?
<回答5>
ご存じのように、福井県の子どもたちは、学力だけでなく体力でもトップクラスだという結果が出ていますね。ここでは、スポーツ庁(2015)が示した全国の体力や運動能力、運動習慣についての調査をもとに体力や運動能力が高い子どもの生活スタイルをご紹介しましょう。
① 家の人といっしょに、運動やスポーツをしたり、運動やスポーツの話をすることが多いほどよいという結果が出ています。興味深いのは、実際にいっしょに運動をしなくても、運動やスポーツの話を一緒にするだけでもよいようです。
② 「毎日朝食を食べる」「決まった時間に夕食を食べる」「決まった時間に寝る」など、規則正しい生活習慣は、やはり体力づくりによいという結果が出ています。そして、体力や運動能力が高い子どもほど、「運動・食事・睡眠が大切だ」と考えていることがわかっています。
③ 反対に、テレビ、ゲーム、携帯電話やスマホなどの使用時間が長くなればなるほど、体力は低くなる傾向が示されました。これも予想どおりですね。
その他、スポーツ庁は、中学生の1週間の総運動時間は、男女ともに二極化が進んでいると指摘しています。家庭でできることをみつけて、取り組まれてはいかがでしょうか。
<質問6>何事につけ、自信がない
中1男子です。ドラえもんののび太君のように何事につけ、自信がありません。みているとイライラしてしまうのですが、どうしたらよいでしょうか。
<回答6>
ご心配ですね。お子さんに限らず、日本の若者は国際的にみても自分に自信がないという調査が報道されていましたね(2015年9月)。
さて、広辞苑によれば自信とは、「自分の能力や価値を確信すること。自分の正しさを信じて疑わない心」とあります。では、このような心の状態でいられることと関係があるものとは何でしょうか?中部大学教授の速水敏彦先生は、次の3つがあるといいます。
1 直接的な成功体験・・・「できた!」という体験
2 他者からの承認・・・親、先生、友人から認められた経験
3 思考の傾向・・・楽天的、あるいは悲観的など考え方のクセ
このうち、1の「できた!」という体験を積み重ねることで、「自分はできる」という感覚(自己効力感)が培われていきます。また、2の経験が豊富にあるほど「自分には価値がある」という感覚(自尊感情)が養われていきます。心理学的には、この自己効力感と自尊感情が「自信」の構成要素の大きなものといえるでしょう。
このことから考えると、お子さんにあった目標設定と、できたことに焦点を当てたポジティブな声かけが「自信」のある子に育てていくことに有効であるといえるでしょう。
<質問7>すぐにくじけてしまう
中1男子です。うちの子はすぐにくじけます。どうしたら物事に粘り強く立ち向かっていけるようになるでしょうか。
<回答7>
ここでは、逆境やストレスに立ち向かっていく力=くじけない力について考えてみましょう。東京家政学院大学の根本橘夫先生が指摘するくじけない力に関係している要因の一部を紹介しましょう。
① 親からみて、目標が現在のお子さんにとって、適度な困難さや適度な取り組み期間になっていますか。そうでない場合には、目標をお子さんにあったものに設定し直すことも良いでしょう。
② 本人が、その目標の達成を「自分にはできる」と思えているでしょうか。「自分には無理」と思っている場合には、できたことをグラフにするなどして、努力が結果につながっていることを一緒に分かち合うのも良いでしょう。
③ 本人の性格を理解しましょう。完璧主義的な子や細かいところまでこだわりすぎるためにくじけがちな子もいますよね。性格を認めながらも、やり方を少し変えてみることを提案するのも良いでしょう。
④ 目標達成のために過度な競争と不安をあおるような環境になっていないでしょうか。仲間同士が助け合うような環境であれば、くじけやすい子も最後までがんばり抜くことができるでしょう。スポーツ少年団を選ぶ際の目安になるかもしれませんね。
以上の視点から、お子さんを支え、励ましてあげてください。
<質問8>「いじる」と「いじめる」の違い
中2男子です。自分は「いじられキャラ」だと楽しそうにしゃべっていたのですが、最近、元気がありません。いじめられているのでしょうか?
<回答8>
ご心配ですね。ここでは、「いじる」と「いじめる」の違いについて考えてみましょう。テレビの影響もあるのでしょうが、クラスの人間関係の中でも、会話にツッコミを入れたり、人を「いじったり」して、その場の空気を盛り上げる子が人気者であることが多いようです。そのような子に「おいしくいじって」もらうことで、クラスの中で、ある種のポジションを獲得している子もいて、もしかしたら、息子さんはそのようなタイプに近かったのかもしれません。
しかし、島根大学の岩宮恵子先生も指摘しているように「いじる」と「いじめる」は紙一重です。ツッコミを入れている子の心持ちが優しいものだったのか、言われた本人の気持ちはどうだったのか。周囲のみんなは、あたたかい笑いなのか、嘲りを伴った嗤い(わらい)に近かったのかで、大きく変わってきます。
最近元気がないということなので、もしかすると「いじられてうれしい」から「いじめられて苦しい」になってしまったのかもしれません。まずは、お子さんの気持ちを十分聴いてあげてください。場合によっては、学校の先生に相談するのもよいでしょう。
<参考文献>岩宮恵子(2009)「フツーの子の思春期 ~心理療法の現場から~」岩波書店
<質問9>朝、自分で起きられない
中1女子です。夜更かしぎみで朝も自分で起きられません。どうしたらよいでしょうか。
<回答9>
「早寝早起き朝ごはん」が生活リズムを整え、健康な心や体、学力の向上によいことは広く知られていますが、思春期になるとさまざまなことから夜更かし気味になっていく傾向がみられます。ここでは、よい睡眠のためのいくつかのポイントについて考えてみましょう。
まず、「小さい子どもではないのだから、寝る時間は短くてもかまわない」と考えがちですが、第二次性徴がみられる頃には眠気が強まるという指摘があります。小学校低学年の頃と同様程度の十分な睡眠時間が必要であることを心得ましょう。
しかし、現代の中学生は部活動や塾など多忙化しています。それに加えて、スマートフォンやゲームなどの使用が夜更かしを招いているお子さんも多いでしょう。スマートフォンやゲームは使用時間を決め、自分の部屋に持ち込ませないなどのルール作りは重要であるといえます。
また、寝る環境もチェックしましょう。静かで、暗く、温度や湿度が季節に応じて適切に保たれていることは大事ですね。
さらに、本人に就寝時間と起床時間を決めさせるのもよいでしょう。特に起床については、自分で起きることができると、人に起こされるよりも日中に眠気を感じにくく、脳の機能が活発になるという研究結果があります。「起こさないといつまで起きないから」とあきらめてしまわずに、自分で起きるように促してみてはいかがでしょうか。寝る前に朝起きる時間を強く意識すると、それだけで効果があるようですよ。
<質問10>人と比べてしまう
中2男子です。「僕はできない。」と人と比べて落ち込んでばかりいます。どのように声をかけたらよいでしょうか。
<回答10>
そうですね。息子さんの気持ちは「劣等感」だといえます。思春期に入ると、「自分とは何者か」について考え出し、その過程で人と比べることを繰り返していくものです。ですから、劣等感をもつということは、正常に思春期に入ったともいえます。思春期に入ったということは、ちゃんと育ててきたということの証でもありますから、まずはご安心ください。
心理学者アドラーはこう言っています。「劣等感をもつことは不健全なことではない。劣等感をどう扱うかが問題なのだ。」劣等感は、それをバネにして目標を達成する動機にもなり得ますが、「どうせ僕なんか」と逃げる口実にもなります。だからといって「逃げちゃダメ」と叱咤激励するだけではますます落ち込むかもしれませんから、例えば「"人と比べる"のではなく、"以前の自分"と比べてみてごらん。きっとできていることが増えているよ」などと視点を変えてあげることも方法の1つだといえるでしょう。
<質問11>ネットトラブルの相談機関
中3女子です。身に覚えのないお金の請求メールがきて困っています。相談できる専門機関を教えて下さい。
<回答11>
ご心配ですね。ここでは架空請求に限らず、スマホ等に関してトラブルがあったときに相談できる機関を紹介したいと思います。
1 まずは学校に相談しましょう。
2 お金にまつわることは「福井県消費生活センター」または県嶺南消費生活センター」に相談しましょう。
3 いじめや性被害などの相談は、「福井少年サポートセンター」に、サイバー犯罪は「県警本部生活環境課」もしくは最寄りの「警察署生活安全課」に相談しましょう。
4 法務省が「インターネット人権相談窓口」を開設しています。子ども用のSOS e-Mailもあります。
5 「違法・有害情報相談センター」では、名誉き損、肖像権侵害、脅迫行為などの違法・有害情報に対する相談を受け付けています。
何か困ったことがあったら、すぐに話し合える雰囲気を作り、お子さんをネットトラブルから守ってあげましょう。
<質問12>スマホをもたせてよい?
中2女子です。スマホを欲しがります。高校生になってからと思っていましたが、どうしたらよいでしょうか?。
<回答12>
スマホを買い与える時期は、急激に低年齢化しています。国立教育政策研究所のHPによると、中3で、平日にスマホ等で1時間以上通話やメール、ネットをする福井県のお子さんは44.7%でした。今や、高校生に起きていたスマホによるトラブルは中学生にも起きていると考えてよいでしょう。スマホによるトラブルは、「どうしたらいいの?」16-18歳生活編の質問11や「交流ひろば」に情報を詳しく載せてありますので、ぜひご覧ください。さて、ご質問ではまだ買い与えていないとのことですね。本当にスマホは中学生に必要でしょうか?連絡手段としてなら、携帯電話(いわゆるガラケー)でもよいかもしれません。スマホは「小さなパソコン」ですので、お子さんは良くも悪くも様々な情報にさらされます。その他のデメリットもとても多く、まずは保護者の方がそれを知ることが重要です。その上で「〇歳になったら持つ」というルールを作りましょう。そして、もし買った場合には、スマホに振り回されないために「我が家のルール」が必要になります。ぜひご家庭で話し合って、お子さんにルールを確認させてあげて下さい。
<質問13>女子のグループ
中2女子です。クラスの女子でグループを作り、仲がよいことはよいのですが、あまりにもメンバーのことばかり気にしているようです。どうしたらよいでしょうか?
<回答13>
そうですね。保護者の方も(特にお母さんは)、中学や高校の頃には仲良しグループでいつも行動することが多かったのではないでしょうか。今もそうなのですが、最近の中学生はグループ内の友達にはすごく気を遣うのですが、他の生徒には無関心もしくは冷たかったりするようなことが多いようです。仲がよいグループがずっと一緒にいると、ふとしたきっかけで煮詰まったように誰かが仲間はずれになる、あるいは順番にはずされるといったことも起きているようです。保護者の方には2点ご提案します。1つめ、そのようなグループ内では、仲間の誘いに気を遣って断れない状況がよく見られます。上手な断り方を覚えていくことは、自分も相手も大切にしたコミュニケーション力をつけることにつながります。これから社会を生きていく上で大切な力と言えますので、ご家庭で話題にして下さい。2つめ、仲間以外の人にも目を向けていくことを意識させてあげて下さい。「"自分とはちょっと違う感じがする人"とのつきあいが自分という個性を幅広くさせていくんだよ」などとご家庭でも話してみて下さい。
<質問14>部活動で疲れる
中1男子です。部活動が朝練習や休日にもやるので、子どもは疲れ果てています。どうしたよいのでしょうか?
<回答14>
新しく中学に入って、小学校と大きく違うのは、部活動があることでしょう。もちろん、小学校にもスポーツ少年団の活動はありますが、一般的に活動時間は中学の部活動の方が長いといえるでしょう。また、中学校では先生が指導者であることがほとんどであり、お子さんは、部活動の指導者と1日中近いところにいるという緊張感ももっているのかもしれません。休日に体も心も休めたいところですが、お子さんはその時間も十分にとれないため、本当につらいことだろうとお察しします。保護者の方も「こんなふうでやっていけるのだろうか。」とご心配のことと思いますが、まずは、一生懸命がんばっているお子さんを「よくやっているね。」と認めてあげてください。 朝練習や休日の部活動の設定については、学校や顧問の先生の方針を、納得がいくように説明してもらうことが大切です。なかなか言い出しにくいことでしょうが、保護者会などの機会をとらえて、担任や顧問とお話されるとよいでしょう。
<質問15>朝元気がない
中3女子です。朝になると暗い表情になり、食欲もありません。学校の話題もしなくなりました。どうしたらよいでしょうか?
<回答15>
文面から見ると「学校に行きたくない」と言っているようではありませんが、でも「朝になると暗い」「食欲もない」「学校の話題もしない」のはとてもご心配なことでしょう。3年生ですから進路のことも含めていろいろなことがお子さんを悩ませているのでしょう。症状だけを見ると「うつ病?」と思われるかもしれません。すぐに医療機関に受診するのもよいのですが、保護者の方が、お子さんの気持ちを聞いてあげることも大事なのではないでしょうか。「最近、元気ないようだけど何かあったの?」と、保護者の方が自分のことを理解しようとしてくれているとお子さんが感じることは、専門のカウンセラーに理解してもらうことよりどれだけうれしいことでしょう。もちろん、医療機関の受診も合わせてお勧めします。上のような症状に加え、「消えてなくなりたい」「死にたい」という言葉が出てくる時には、より心配です。「死にたい」と言っても慌てずに「死にたいくらいつらいんだね」と受け止めて、お医者さんへ連れていってあげて下さい。
<質問16>月曜日、登校できない
中3男子です。月曜日に登校できません。土日の宿題が少しでも終わっていないと、「叱られるから」と言って、行こうとしません。学校に電話すると「特別叱ってはいないのですが・・・」と言われました。
<回答16>
ご心配ですね。ここでは、「少しでも終わっていないと」という点を考えてみましょう。小さい頃からそのようだったでしょうか?人には考え方のくせがあります。何事にも完璧にやりたがるお子さんだったとしたら、3年生になって質も量も増えた宿題が少しでもできていないと、辛くなり、「そういう自分を見せたくない」と思って学校に行かないという選択をしている可能性が考えられます。完璧を求めるタイプの人は、"0か100か"と考え、中間のアバウトな考えを持ちにくい傾向があるといわれています。もちろん完璧を求めるのは、より高みを目指すという点では望ましいことなのですが、その考え方が強すぎて、結果として学校を休んでいるとしたら、学力も伸びないですよね。学校の担任の先生や教育相談担当の先生などと話し合う中で、"全部できていなくても、学校へ来て、できていないところはどうするとよいか"について、柔軟な考え方を身につけるとお子さんも楽になるかもしれませんね。
<質問17>不登校
中2男子です。欠席が続いて半年がたってしまいました。最初は無理矢理にでも行かせようとしたのですが、結局動きませんでした。いつになったら登校できるのでしょうか?
<回答17>
「最初は無理矢理にでも連れて行こうとした」お気持ちよく分かります。でも、休み続けている今から振り返ると、結局布団をかぶって部屋から出てこなくなったなど効果的だったとはいえないことが多いようです。さて、「半年がたった」とのこと、「いつになったら」というお気持ちもお察しします。一般的には次のような行動がみられるようになってくると、次への変化が生まれやすい時期に来ていると言われています。生活リズムの安定、外出意欲が高まる、欠席が始まったきっかけを話題にできる、手伝いや家族の気遣いができる、友人に会える、心理的距離の近い先生に会えるなどです。このような状態に近づいたら、学習や進路の話題を具体的に示してあげたり、適応指導教室や別室登校の可能性を探ってみたりすることが望ましい関わりだと考えられます。ただし、学校の話題が出たからといってすぐに登校するとは限りませんので、期待しすぎないことも大事です。学校の先生には、家庭でのお子さんの状況は分かりにくいですので、連絡を取り合うことをおすすめします。
<質問18>仲間はずれ
中1女子です。最近、仲のよかったグループの子とのつきあいが減り、表情も暗くなってしまいました。もしかしたら外されたり、いじめられているかもと思って、聞くのですが何も言いません。どうしたらよいでしょうか?
<回答18>
他の質問でも書きましたが、この頃の女子は、「仲良しも仲間外しもグループの中で起こる」といわれています。「表情も暗くなり」とありますから、「何も言わないから何もないのではない」可能性は高いと思われます。ご心配ですね。お子さんの中には、「親だけには言えない。親に心配かけたくない。一番安心できる家庭の中に問題を持ち込みたくなかった」と考える子もいるようです。もちろん、ご相談のケースはどのような状況になっているのか、詳しいことが分かりませんが、「何も言わないから、何とかなってるんだろう」「もう少し様子を見よう」と時間が過ぎていった結果、事態が深刻になっている場合も多いようです。対人関係のトラブルは起こりうるものであり、社会性を育てる機会とも考えられますが、そのトラブルが深刻かつ一方的な場合には、傷つき体験となってしまいかねません。学校内で出来事が起こっている可能性は高く、学校とご相談して(学校に連絡するのは勇気がいりますが)、まず事実を知るところから始められてはいかがでしょうか。
<質問19>キレる
中2男子です。成績が下がって注意したらキレて、物を壊してしまい、びっくりしました。今までそんな子じゃなかったのに。どうしたらよいでしょうか?
<回答19>
「今までそんな子じゃなかった」のですね。中には、もともと小さい頃からキレるタイプのお子さんもいらっしゃいますが、そうではないとしたら、思春期と呼ばれる時期の特徴として捉えるとよいのかもしれません。「子どもと大人」「甘えと自立」が混在してくるこの時期は、内面からわき上がってくる衝動が攻撃性となってでることもあるようです。ただし、思春期の子がみな物を壊すわけではありませんから、攻撃性を強める何らかのストレスがあるように思います。学校で考えられるのは、勉強、部活動、友達関係、先生との関係が代表的ですね。学校でストレスをためこんで、家に帰ってもむしゃくしゃしていて、保護者の方が注意をしたことが最後の一押しになって「キレた」という可能性も考えられます。思春期の子は保護者の方に学校での出来事をあまり言わなくなるのが普通です。その他の可能性も含めて、学校の先生にそれとなく相談するのがよいかもしれません。
<質問20>めまいや立ちくらみは
中2の女子です。最近、めまいや立ちくらみを訴えます。最近の様子を見ていると、学校を休みたいための言い訳のように思えるのですが?
<回答20>
確かに本当に言いたいことを言えずに、めまいや立ちくらみなどの身体の症状を訴えることで自分を分かってほしいサインを出すお子さんもいらっしゃいます。しかし、めまいや立ちくらみに加えて次のようないくつかの症状も見られるようであれば、起立性調節障害の疑いもありますから、医療機関への受診をお勧めします。朝に起きられない、全身のだるさ、頭痛、イライラ感、集中力の低下などです。思春期のお子さんの5-10%に見られるともいわれています。女子に多いのも特徴のようです。どちらの場合でも、怠けやサボりではないという理解が、お子さんが「分かってくれた」と安心できることにつながるようです。叱咤激励よりも、まずはお子さんの気持ちを聞いてあげるようにしてみて下さい。
<質問21>ゲームで夜更かし
中1男子です。ゲームにはまって、朝起きてこなくなりました。時間を守るように言っても聞きません。どうしたらよいでしょうか?
<回答21>
ご相談のゲームとはたぶんオンラインゲームの可能性が高いですね。インターネットにつなげて遊ぶこのタイプのゲームの特徴は2つあります。1つは長時間すればするほど分身やキャラクターが強くなる仕組みなので、長時間はまることです。もう1つは課金システムでお金をかければかけるほど強くなるという特徴もあり、お金の問題も指摘されています。外国ではパソコンの前に座り続けてエコノミー症候群で死亡した例も報告されているようです。
さて、ご家族の対応ですが、初期の対応が最も重要であると考えられます。なぜなら、依存的傾向が強まってからでは、「ネットばかりしてる本人」→「家族のいらだち」→「怒りなどを言葉に出す」→「本人がキレる」→「家族は黙る」→「ネットは続く」という悪循環が起きることが多いからです。ネット使用は低年齢化していますが、初期に家族内でルールを作り、一貫して「これ以上はだめ」という毅然とした態度が求められていると言えるでしょう。
上のように悪循環になっていると感じられたら専門機関にご相談下さい。
<質問22>ダイエットを始めた
中1女子です。娘がダイエットを始めたらやせすぎてしまい、心配です。本人に言っても「やせてない」と言うばかりです。生理もないようです。どうしたらよいでしょうか?
<回答22>
ご心配ですね。生理もなくなってしまうくらいやせているとしたら、見た目には相当やせて見えるのでしょう。一般には、標準体重の85%を下回っている場合には病的な状態といえるようです。でもお子さん自身は「やせてない」と思っているのですね。病的な状態であれば、心理的、内科的なケアも含めて医療機関を受診することが望ましいのですが、お子さんのように「自分は病気ではない」と思っている人は多く、その人に「あなたは病気なんだよ」と無理矢理連れていこうとしても、難しい場合が多いです。そのような場合、例えばこのようなお子さんは学校を欠席がちになることも多いのですが、「あなた、将来は○○になりたいって言ってたじゃない。その夢を叶えるためにも学校に行けるようにしよう」とか、「あなたのことが心配でしょうがないけど、どうしてあげていいか分からない。一緒に病院に行ってくれない?」などといった声かけも考えられるでしょう。
その他、やせすぎると学校生活にいろいろと支障を来すことも多いので、学校とご相談することが望ましいでしょう。
<質問23>度を過ぎたきれい好き
中3女子 学校のものを極度に「汚い」と言います。教科書や筆箱をタオルにくるむようにして鞄に入れたりします。また学校から帰ると、シャワーを何度も浴びます。ちょっと度が過ぎていて心配です。このままでいいのでしょうか。
<回答23>
「学校のトイレは汚くて嫌だ」「手洗い場が汚くて使う気がしない」など不潔なことを避けるのはよくあることです。でも、「電車のつり革が汚そうで握れない」とか「何度手を洗っても不潔に思えて、また手を洗う」となると、単なるきれい好きというレベルではないと思いますよね。ご相談のケースも保護者がお感じになるように「度が過ぎている」と考えられると思います。実はお子さん自身も、度が過ぎていることは分かっているのですが、「わかってはいるがやめられない」状態で「本人も困っているし、苦しんでいる」のだと理解する方がよいでしょう。
10代~20代にみられる傾向が多く、学校生活を含めた日常生活に支障を来す場合が多いので、専門機関にて治療を受けられることをおすすめします。
<質問24>授業中におなかが鳴る
中3女子です。授業中におなかが鳴るといって、保健室に行くことが多くなりました。どうしたらよいでしょうか?
<回答24>
「おなかが空くとおなかが鳴る」のは自然なことですが、ご質問の場合はおなかが空いていないのにおなかが鳴るということなのでしょう。授業中は静かなときが多いですから、特に女子は、音がなると恥ずかしいとか、周りの人が変に思うんじゃないかと不安に思うことは普通ともいえます。といって保健室に行くと勉強が遅れて困りますよね。では、どうしたらよいのでしょうか。まず、「おなかが空いていないのにおなかが鳴る」のは、"空気を吸い込みすぎている"などの原因が考えられますので、医療機関で診てもらうことにより改善される場合があります。一方、お子さんが「また鳴ったらどうしよう」「みんな私のことを変に思ってる」と強く思って、勉強が手につかないなど不安定になっている場合には、学校と相談して、養護教諭やスクールカウンセラーに話を聴いてもらうことで、落ち着くことができるかもしれません。両面からのケアが望ましいといえます。
<質問25>爪かみがひどい
中1男子です。爪かみがひどいです。どうしたらよいでしょうか?
<回答25>
「爪をかむ」のは、不衛生だしみっともないからやめさせたいと思われますよね。ここでは、爪かみを癖として考えてみましょう。「なくて七癖」といわれるように人には癖があります。ついやってしまうのは、なぜでしょうか。原因の1つは、ストレスがかかったときに、不安や不満、恐れなどの気持ちを紛らわせるためにとるからといわれています。ですから、この場合には、「やめなさい」ときつく注意しても、原因となっているストレスが取り除かれていないので、大概の場合やめないか別な癖に移行します。例えば髪の毛を抜くなどが知られています。こういう場合には、幼児ならスキンシップなどの愛情表現が望ましいようですが、中学生の場合には、「会話を増やす」「否定せずに話を聴く」ことが有効であるといわれています。やめさせたいと思われたら、忙しい中でも、何とかお子さんと向き合う時間を作ることの方が近道なようです。もちろん、爪かみがすべてストレスが原因とは限りません。ストレスがなくても癖でしてしまうという場合もあるようです。