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7-12歳(生活編)
<生活編>
<質問1>不登校の予防として家庭でできることはありますか?
小1女子の母親です。仕事と家事で忙しい毎日の中、子どものあどけない笑顔を見ると癒やされほっとします。ですが、最近中高生の不登校や大人のうつ病等について、新聞・テレビ等で目にし、もしかしてわが子も・・・と不安になります。幼い今からできる予防法、気をつけることとはどんなことでしょうか?<回答1> お子さんのかわいい笑顔によって、お仕事の疲れや毎日の家事に追われるお母さんの心がほっとひと息つけることは嬉しく幸せなことですね。
子ども時代に十分愛され、認められ、受け入れられることによって、自己肯定感が高まり、自立をつかさどる脳の機能が育っていくと言われています。逆にそのような経験が少ないと、自分に自信が持てず、抑うつ的(イライラしたり、不安になったり、気分が落ち込んだり・・・)になりやすいようです。
福井大学の子どものこころ発達研究センター教授、友田明美先生は著書『子どもの脳を傷つける親たち』には、「マルトリートメント(言葉による脅し、威嚇、罵倒、放っておく、子どもの前で繰り広げられる激しい夫婦げんか等)がまったく存在しない家庭などはありませんが、その強度や頻度が増した時、子どもの脳と心とは確実に傷つき、意欲の低下、うつ病等精神疾患の症状が出現したり悪化したりすることにつながる」と書かれています。
まずはお母さんの心の環境が「幸せだな」「嬉しいな」という状態ですと、お子さんの毎日の心の環境も幸せで嬉しいものになります。お母さんの心や体が疲れた時には、たっぷりご自身をいたわって、お母さんが自分自身を褒めてあげると、お子さんのことも十分認めたり受け入れたりすることができるようになると思います。新聞・テレビで悪いニュースが目に入ったとしても、心配なさらず「私は私でいいんだ。この子はこの子でいいんだ。」とご自身とお子さんを肯定してあげてください。
<質問2>人見知りだけど、活発になってほしい。
小4女子の母親です。幼少期から人見知りが激しく、引っ込み思案で困っています。親としてもどかしく感じることも多く、もっと活発になってほしいと思っています。こういう特徴は変わらないのでしょうか?<回答2>1956年にニューヨークで100人以上の乳幼児を対象に行われた縦断研究によると、「乳幼児期の器質的な特徴が20歳前後まで必ずしも保たれるわけではない。」という結果が示されたといいます。私たちは「三つ子の魂百まで」と思いがちですが、どうやらそうでもないようです。環境によって、人間関係によって、人の性格は変わっていくといえるのかもしれません。
さて、お子さんに活発になってほしいとのことですが、活発でなくてはいけない理由を考えたことはありますか?確かに活発なお子さんは行動が目立つので、輝いているように見えがちですが、逆におとなしいお子さんでもきっと輝いている瞬間はあるはずです。その子が輝ける場面があってそれを本人や周囲が認めてあげることができたら、それでいいのではないでしょうか。
お子さんが自分自身を肯定的に受け止めるには、まずは周囲の大人がお子さんのすべてをありのまま肯定的に受け止めてあげる必要があります。「うちの子は引っ込み思案で人見知りが激しくて、、、」と思ってしまうようなときには、言い方の角度を変えて「うちの子は奥ゆかしくて人の気持ちに敏感に配慮できて、、、」と、とらえ方を変えてみると、マイナスに感じていた特徴も、プラスに思えるようになるかもしれませんよ。
<質問3>保護者もカウンセラーに相談できますか?
今春、娘が小学校に入学したのですが、親子ともども初めてのことばかりで毎日が心配でなりません。学校にはカウンセラーがいると聞いたのですが、子どもだけでなく保護者も相談できるのでしょうか。(新入生の保護者より)<回答3>
人は誰でも、心が傷ついたり、心のあり方が原因で心身の不調が起きることがあります。例えば、何となくやる気がしないとか、不安だとか、イライラするとか、ぼーっとしてしまうとか、夜寝られないとか、食欲がないとか、友達とうまくいかないとか・・・。そういった時にどうしたらいいのか、一緒に考えていく仕事をするのがカウンセラー(スクールカウンセラーと言います)です。もちろん、お子さんの通っている学校の先生や、知り合い、親戚、友達などの身近な人に相談されてもかまいません。それでお母さんの気持ちが少しでも軽くなって落ち着かれ、余裕ができることは、お子さんにきっとよい影響を与えるでしょう。でもよく知っている方がかえって話し難いことがあると思います。そういう時にスクールカウンセラーを利用してみてもよいと思います。お役にたてるかもしれません。
*参考までにカウンセラーは以下のことを大切にして仕事をしています。
まずカウンセラーには守秘義務があります。秘密の守られる場で相談することができます。また、カウンセラーは一人ひとりを尊重した援助を心掛けています。それは人間にはそれぞれ個性というものがあり、親も子も一人ひとりそれぞれ個性をもっており、十人十色、みんな少しずつ異なっていて、同じ悩みや問題でも、解決法は違うはずです。従って、カウンセリングではお子さんや保護者の主体性、考え、体験というものを大切にしながら、じっくりと時間をかけて話し合い一緒にその人にあった言わばオーダーメイドの答えを探すということになります。
<質問4>最近の子どもは、あいさつできないの?
小学校5年生の子をもつ母親です。子どもたちの朝の登校の様子を見ていると、あいさつもせず、元気なく歩いています。最近の子どもたちは、あいさつができないのでしょうか。
<回答4>
子どもたちが元気なく登校している姿を見ると、心配になるお気持ち良く分かります。あいさつは、社会で生活する上でのマナーや礼儀であり、人とうまくかかわるための技術という意味で、ソーシャルスキルと呼ばれています。「ありがとう」「こんにちは」「いただきます」などのあいさつは、幼いころからの生活の中で自然に身につけてきました。しかし、社会の大きな変化により、家庭や地域とのつながりが希薄化してきたことで、子どもたちに対して大人が意識的にソーシャルスキルを教えなければいけない時代になってきたのではないかと考えます。学校では、特別活動の時間を利用して、ソーシャルスキルを体験的に学んでいる例もあります。そのような時間を通して、あいさつすることの気持ちよさや人とかかわることの楽しさを直接学びスキルを獲得していくことで、基本的な生活習慣が身についていくでしょう。しかし、何よりも大切なのは、私たち大人たちの姿勢だと考えます。子どもに生活習慣を身につけさせたいと考えたとき、まず、大人が実践してみせることが一番の近道なのかもしれません。
<質問5>子どもの叱り方
小学4年の息子がいます。ほめることはできるのですが、うまく叱れません。時には感情的に怒鳴ってしまって、自己嫌悪になることもあります。どうしたらよいでしょうか。
<回答5>
最近は「ほめて伸ばす」といった論調が多いようですが、それと同時に「叱って育てる」ことも大事ですね。ここでは、追手門学院大学の三川俊樹先生の考え方をもとに考えましょう。 「叱り方」とは、「伝え方」ともいえますが、うまく子どもに伝えるためには、その前提がとても大事になります。前提とは2つあります。
1つ目は子どもの様子を「よく観る」ことです。学校から帰ってきて暗い表情の子どもに「何かあったの」「別に」というやりとりがあったとします。でも本当に大丈夫でしょうか。子どもは心の準備ができていないままに質問されたので、答えようがなかったのかもしれません。「別に」という言葉に頼りすぎず、子どもをよく観ることが重要です。ただし、自分の観察の仕方にクセがあることも覚えておきましょう。「ついできていないところが気になる」「子どもの気になるところを観ていると、私の育て方が悪かったからだと思ってしまう」などと、人には物事を観察する時のクセがあります。まずは、自分自身のクセに気づくことが大事だといえるでしょう。
2つ目は、「聴く」ことです。聞こえてくるのではなく、耳を傾け、心を傾けて聴くという意味です。実はこれにも、人それぞれのクセがあります。子どもは心配しているのに、ちょっと聴いただけで「大丈夫よ!」と励ましたら、子どもは「わかってもらえない」と思うかもしれませんね。また、「明日から試験だ。どうしよう。」という言葉を聞くと、「だから、普段から勉強しておけばよかったのよ」と正論を言いたくなる人もいるでしょう。「聴く」ということは、相手を「理解する」「受け止める」ということでもあります。「明日から試験だから心配なのね。」と子どもの感情をキャッチしてみましょう。
そのうえで、気持ちをうまく伝えましょう。感情的になっている時には「怒鳴ったり、怒ったり」することはできても、うまく「叱る」ことはできません。まずは深呼吸をして心を整えて下さい。「お父さんに叱ってもらうわよ」と人任せにせず、「何回言ってもわからないわね」と嫌みっぽくも言わず、くどくど言い過ぎず、「私は、心配なの」「私は、汚い言葉遣いを聞くと悲しくなる」などと、ご自身を主語にして、ご自身の感情や願いを伝えてみましょう。
このように考えていくと、子育ては、「自分育て」ともいえるのではないでしょうか。
<質問6>小学校入学にあたって、気をつけることは?
この春、小学校に入学した子を持つ親です。親子ともに初めてのことで大変不安です。子どもを見守る親として、気をつけなければいけないことを教えてください。
<回答6>
ご入学おめでとうございます。親子でぴかぴかの1年生ですね。お子さんの成長が楽しみであるとともに、心配なこともでてくるでしょう。
ベネッセ(2012)の調査では、小学校入学前後の親の気がかりなこととして、一番多い回答が「勉強・学習」でした。小学校は、授業を中心とする学校生活になり、決められた時間の中で行動することが求められます。家庭学習などを持ち帰り、家庭でも学習する習慣を身につけていきます。学習面・生活面、何事も初めてのことばかりで、子どもたちは、緊張や疲れを感じることでしょう。
子どもを見守る親として気をつけることとして、ここでは子どもの話を聴く時間をできるだけ作ることを提案したいと思います。白梅学園大学 増田修治教授は、人の話を聴く技術の中で一番大切なのは、「相づちを打ちながら聴く」ことだといわれています。人は、相づちを打ってくれる人に対して、心を許し、その人を中心に話を進めていきたいと思います。子どもの話を聴くときに、適度に相づちを入れながら、そして、お子さんの目を見て、聴く時間を作ってあげられるといいですね。
<質問7>やっぱり朝食は大事ですか?
小6男子です。毎朝、忙しくて朝食を食べさせられない日がたまにあります。やっぱり朝食は大事なのでしょうか?
<回答7>
朝食については、不要とする意見もあるようですが、ここでは内閣府や文部科学省が推進する「食育」の考え方をご紹介しましょう。「食育」とは、子どもたちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けることができるように家庭と学校が協力して育てていくことです。
具体的には、主に次のような習慣が身につくとよいでしょう。
〇 朝食を食べる。しかし、小学校6年生の11%が毎日食べないようです。朝食を毎日食べている子は、食べない子に比べて学力と体力が高いことがわかっています。
〇 一緒に食べる。しかし、小学校5年生の15%が朝食を一人で食べているようです。
〇 食べる時にあいさつをする。家族そろって食べる子どもの7割はあいさつをしていますが、一人で食べる子どもの6割はあいさつをしていないようです。
〇 早く寝る。寝る時間が遅くなるほど、朝食を抜く子どもが増えていきます。
お仕事の都合で、一緒に食べることが難しいご家庭もあると思いますが、できるだけ可能な日には一緒に食べましょう。そして、「早寝、早起き、朝ごはん」を心がけていきましょう。
<質問8>「よく生きる」ことは「よく眠る」こと
小1男子です。いろいろなことに忙しくて、寝かしつけるのがだんだん遅くなってしまいました。やっぱりよくないのでしょうか?
<回答8>
日本睡眠学会のホームページによれば、「より良く生きる」ことは「より良く眠る」ことだと指摘し、脳科学の進歩によって睡眠の重要性が明らかになる一方、睡眠を犠牲にするライフスタイルが慢性化していると警告しています。
ここでは、厚生労働省(平成26年)が提唱する「睡眠12箇条」から3点ご紹介しましょう。
1 適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを
週5日以上の習慣的な運動をしている人は、眠りがスムーズであり、覚醒のリズムが不規則な人は、朝食抜きの割合が多いという研究結果があります。学校で元気に身体を動かし、朝はしっかりと朝食をとらせましょう。
2 よい睡眠のためには、環境づくりも重要です。
寝室の温度、湿度、騒音、光、寝具、パジャマなどは、睡眠の質と関係することが示されています。静かで、暗く、温度や湿度が季節に応じてちょうどよいように調整してください。スマホのブルーライトが睡眠の質を悪くするという指摘もあります。
3 若年世代は夜更かしを避けて、体内時計のリズムを保つ
厚生労働省は15歳までは8時間以上の睡眠が望ましいとしており、小学校低学年は、一般的にさらに長い睡眠時間が必要であるといわれています。さらに、休日に平日より2~3時間遅く起きると、体内時計のリズムが悪くなり、月曜日の寝起きを困難にさせると指摘されています。入眠時刻、睡眠時間だけでなく、週末の起床時間も注意してください。
<質問9> 子どもが「声優になりたい」という
小学校6年女子です。子どもが「声優になりたい」といいます。否定はしていませんが、そろそろ現実的な職業を考えて欲しいのですが。
<回答9>
ベネッセ(2013)の調査では、小学生女子がなりたい職業第1位は、「パティシエ、ケーキ屋さん」、2位は「先生」、3位は「医者」でした。
ここでは、こどもが将来の夢をもつ心理について考えてみましょう。そのひとつは「あこがれ」という気持ちが考えられます。では、子どもは、どうやって「あこがれ」を抱くのでしょうか。それは、テレビや現実の世界で、楽しそうに生き生きと働いている大人をみて「あんなふうになりたい」と思うようになるといえるのではないでしょうか。これをモデリング(観察学習)といいます。名城大学の曽山先生も「子どもは大人の言うようには育たない。大人のするように育つ」とおっしゃっています。できれば、ご両親が楽しそうに生き生きと働くモデルを示してあげられるとよいですね。
「そんなの無理よ」「もっと安定した仕事の方がいいのよ」などと言いたくなるかもしれませんが、今は、お子さんの「あこがれ」を大事にしてあげましょう。もうすぐ、理想と現実との狭間で揺れ動く思春期がやってきますよ。
<質問10>「手伝いをしたがらない」
小5女子です。手伝いをさせようと思っても宿題や塾を理由にして嫌がり、私も強く言えません。どうしたらよいのでしょうか。
<回答10>
困りましたね。福井県独自の調査(2012)でも家の手伝いを「ほとんどしていない」子どもの割合は、小学校で約5分の1、中学校で約3分の1となっており、特に中学校は「本県の課題として捉えられる」と分析しています。中学校は、勉強に加えて部活動もあり、強く言えない保護者の方も多いのではないでしょうか。
ここでは、手伝いをすることによって、お子さんにどんな力が身につくのかを考えてみましょう。手伝いは人の役に立つということですね。役に立つことで感謝されると、うれしいですし、自分は人から必要とされているという感覚が身についてきます。その感覚(自己有用感といいます)は、その子の自信につながるといえるでしょう。また、文部科学省(2010)は、手伝いをする子ほど「できれば、社会や人のためになる仕事がしたい」「自分にはなりたい職業や、やってみたい仕事がある」と思う傾向があると指摘しています。さらに、徳島大学の研究(2001)では、手伝いをする子ほど、ストレスが少なくキレにくいという指摘もあるようです。キレにくいとは我慢強さと言い換えてもよいかもしれませんね。
職業意識が高く、我慢強いお子さんは、進路の実現に向けて勉強もがんばることができるといえるかもしれません。忙しい毎日のなかでも、一定時間、家の仕事に役割を与えてはいかがでしょうか。そして、手伝いができたら、ありがとうと伝えてあげてください。
<質問11>「10歳の壁」って?
小4男子です。今までは親のいうことを素直にきいていたのですが、最近は様子が違います。「10歳の壁」という言葉を聞いたことがあるのですが、それなのでしょうか。
<回答11>
ご心配ですね。「10歳の壁」とは、学習が難しくなり、ついていけなくなるなどという意味で使われることもありますが、ここでは、心の成長の面から考えてみましょう。個人差はありますが、確かに小学校3~4年生は、それまでの素直さがなくなり、扱いにくくなることが多いようです。親との関係から友達とのつながりが重視されてくるなど社会とのつながりが広がることが背景の一つにあるといえるでしょう。ただ、最近は放課後の時間に友人との交流が少なく、この時期に必要な友達とのつながりが十分にできていない子が増えているという指摘もあります。
さて、社会性を育むための関わりとして、この時期からは、「人にあったらあいさつをしなさい」「ものをもらったらありがとうと言うんだよ」といった指示や教えるやり方よりも、「なぜあいさつをしたり、ありがとうがいえるとよいのか」を考えさせることが望ましいといわれています。大人が与える社会性から、自分自身の中に価値基準をもち、社会性を内面化していくということです。思春期前の準備期間ともいえる大事な時期といえるでしょう。
<質問12>キレるのはなぜ?
小3男子です。うちの子はすぐにキレます。どうしてなんですか?
<回答12>
お困りですね。ここでは、早稲田大学の本田惠子先生による脳と「キレる」ことの関係をご説明します。「キレる」とは、自分の感情・思考・行動をコントロールできなくなった状態といえます。これは脳の働きと大変関係があります。脳には右脳と左脳があり、右脳は直感的、感覚的な機能を持ち、左脳は思考や感情をコントロールする言語や理性の機能を司っています。先生は、ゲームやインターネットの普及などによって、右脳が刺激されやすく、言葉や論理性を働かせる左脳を刺激する機会が減った結果、右脳が優位な子どもたちが増えて、「キレる」ことが多くなっていると指摘します。この「右脳型」の子どもは、自分の気持ちを整理しにくく、状況の前後関係の整理が苦手だったり、考えがあちこちに飛ぶといった特徴があるようです。
行動をコントロールするには、左脳による意思のコントロールが必要です。ただし、キレている場面では、キレている子ども自身がとても苦しいのだということもご理解ください。
<質問13>整理整頓ができない
小3男子です。整理整頓が苦手です。忘れ物も多いです。どうしたらよいでしょうか。
<回答13>
そうですね。ここでは、早稲田大学の月森久江先生の考えをもとに、整理整頓がうまくできて、忘れ物が少なくなる工夫について考えていきましょう。
1 「いつもの場所」を作る。
筆記用具、教科書、運動着、連絡帳、ハンカチなどを決めた場所にしまう工夫をしてみましょう。整理箱や収納棚には、大きくラベルを貼るとよいでしょう。
2 「身近なところ」におく。
大事な物は首にかける、ベルトにひもを通してポケットにいれる、毎日使う物はポーチにまとめる等の工夫をしてみましょう。
3 「すぐやる」習慣をつける。
学校からの連絡物はすぐに専用のクリアファイルにしまう、すぐに連絡帳にメモする等の工夫が考えられます。学校における工夫もありますので、癖になるまでは、担任の先生に「すぐやる」ように一言声かけしてもらうようにお願いすることも考えてみて下さい。
そして、出来たらほめてあげて下さい。出来たらほめる声かけは、整理整頓が定着化するための第一歩となります。
<質問14>忙しい夫
小6女子です。「忙しい」と夫が子育ての相談に乗ってくれません。どうしたらよいでしょうか?
<回答14>
それは困りましたね。もし、お母さんも働かれているのであれば、なおさら不満ですよね。「なぜ、私ばかりがすべてを1人でこなさないといけないの?」と思いますよね。このようなときの3つの自己主張の方法を示します。どれが、一番お母さんもお父さんも娘さんも大事にした言い方でしょうか?
A「自分だけが仕事で大変だと思ってるの?あなたは、子育てしてこなかったから娘のこと何も知らないんでしょう。娘はちょっと変なのよ。分かってるの?」と言う。
B「夫が仕事で大変なのはわかるけど、私も疲れてきたなあ。娘が最近様子が変だから相談したいんだけど、相談すると夫の機嫌が悪くなるかもしれない」と考えて、何も言わずに我慢する。
C「あなたが仕事で大変なのは分かるけど、私も働いているの。娘の様子がおかしいので、今、話し合うことが必要だと思うの」と伝えて、休日にじっくり話し合う時間をとることを提案する。
人には、それぞれ考え方や伝え方のクセがありますが、ちょっと言い方を工夫することで、よりよいコミュニケーションができることが多いようです。一度試してみられてはいかがでしょうか。
<質問15>友達とのトラブル 小3男子です。思ったことを口にしてしまい、友達とトラブルが絶えません。どうしたらよいでしょうか?
<回答15>
今や小学生でも「キモい」「ウザい」という言葉を口にするようになりました。例えば太っている子に「おまえ、太ってるな」と言うのは、「言われた相手がどう思うか」を想像することができる子ならば言わないかもしれません。これを共感能力といいます。ご相談のお子さんに限らず、子どもたちに共感する力を育てていくことが大事です。学校の先生と保護者の方が協力して育てていく時代であるといえるでしょう。
「もし自分が言われたら、どう思う?」「自分がされて嫌なことは、人にはしないようにしようね」などの声かけが有効かもしれません。また、自分の要求を通すために「キツい言葉」を使う場合には、大人がそれを認めない態度が求められます。簡単に言えば、「我慢する力」です。だめなときに注意することも大切ですが、それ以上に我慢できたときにそれを認めてあげることがポイントです。
小3ですので、まだまだこれから学んでいく途上です。保護者の方が教え育てていくことで、優しい気持ちを持てる子になっていくことでしょう。
<質問16>頭痛や腹痛 小5女子です。頭痛や腹痛を訴えて休みたいと言うことが多くなりました。無理矢理登校させた方がいいのでしょうか?
<回答16>
「登校させた方がよいかどうか」を考える前に、「頭痛や腹痛を訴える」ことについて考えてみましょう。ある人が、仕事で大変忙しく、休むこともできずにかつ上司から叱責をうけている、愚痴を聞いてくれる人もいないという状況で、頭痛が始まったとします。この場合の頭痛は「心の声(辛いなど)が身体の症状となっている」と考えられます。ましてや小5のお子さんではネガティブな気持ちを言葉で表現することは難しいかもしれません。お子さんを取り巻く状況(勉強、友人関係、家族の出来事など)を探っていくことが改善のヒントになるかもしれませんので、学校や外部機関に相談するのがよいでしょう。
<質問17>おねしょ 小1女子です。おねしょが直りません。どうしたらよいでしょうか?
<回答17>
7歳児における夜尿症(おねしょ)の割合は、10%程度といわれており、その後、年間15%程度が自然に治るとされています。ですから、そんなにご心配されなくてもよいでしょう。ただ、精神的なことも関係している場合もあり、また、お昼に漏らしてしまう、日中に頻繁にトイレに行く、便を漏らしてしまうなどの場合には、精神的なことが関係していることが、より多いようです。精神的なことが関係しているかどうかは、「それまではなかったのに、ある時点から急に状況が変化しているか」ということがヒントになるといわれていますが、ご心配な場合には、医療機関で相談されるとよいでしょう。
<質問18>偏食が激しい 小2女子です。偏食が激しく困っています。どうしたらよいでしょうか?
<回答18>
「食育」という言葉が使われるなど、食事を通した子育ての重要性がいわれていますよね。偏食をせずに、まんべんなく栄養のバランスがよいように食べてほしいという保護者の方の願いが感じられます。子どもの頃には多少の「好き嫌い」は誰にでもあるものですが、極端だとご心配ですよね。ただ、中学生、高校生になるにつれて味覚の好みも変化していきますから、「いつの間にか食べられるようになった」ということも多いようです。
偏食が激しい時に「全部食べなさい。食べないと〇〇禁止ですよ」という言い方よりも、嫌いなものが見えないように入っていて、知らないうちに食べたとか、「好きなものはたくさん、嫌いなものは少しだけ」食べさせるなどの方が効果的だといわれています。また、年齢に応じた適切な睡眠時間などの生活リズムは、食生活と大いに関係しているといわれています。食事だけでなく、お子さんの生活全般を振り返ってみられるのもよいでしょう。
<質問19>身長の悩み 小3男子です。身長がほとんど伸びず、110センチほどです。病院に行った方がよいのでしょうか?
<回答19>
厚生労働省(平成12年度)の調査では、8歳0ヶ月の標準身長が125センチほどです。110センチというのは、標準の範囲内よりは少し低いといえるでしょう。「男の子は晩熟だから」など、いろいろ言われていますが、整理すると身長の伸びは、遺伝と環境、それに体質や病気などと関係があるとされています。このうち環境とは、睡眠・食事・運動などがあげられます。思春期に入る前の環境を整えてあげることが大事であるという指摘もありますから、生活のスタイルを振り返られて、改善できることがあれば取り組まれてはいかがでしょうか。
その他の体質や病気の可能性も含めて、医療機関の受診をお勧めします。生活スタイルのことなど、いろいろなアドバイスをもらえると安心ですよね。
<質問20>友達にからかわれる 小5男子です。クラスにやんちゃな子がいて、授業中も発言をからかうようなことがあるようです。今のところ、自分はされていないようですが、大人しい子なので心配です。どうしたらよいでしょうか?
<回答20>
ご心配ですね。「今のところ、されていない」ということですが、人がからかわれているのを見ているだけでも嫌でしょうし、自分がされるのではないかと不安になっているかもしれません。また、人の話をからかうような雰囲気があると、自由に安心して発言ができないために、学び合いなどが深まらずに学習への影響もあるという指摘もあるようです。まずは、「やんちゃな子がいて嫌なんだよね」とお子さんの気持ちを受け止めてあげるようにしてみてください。特に大人しい子は、嫌だとか腹が立つということを言えないことも多いので、はき出させるつもりで聴いてあげるとよいでしょう。次に、クラスの雰囲気がよくないことに担任の先生も苦慮されていることが想像されます。「何とかしてください」という苦情として伝えるよりも、複数の保護者と相談して「先生も困っていらっしゃるようだけど、保護者としてできることはありますか」と伝える方が先生との協力関係を築くのに有効かもしれません。「人が話している間は最後まで黙って聴く」ことを、学校でもご家庭でも協力して教えていくことが大事だといえるのではないでしょうか。
<質問21>ゲーム機がほしい 小2男子です。ゲーム機を持たせていませんが、「ないと友達と遊べないから買ってほしい」と言います。どうしたらよいでしょうか?
<回答21>
迷いますね。「友達から孤立したり、いじめられたりしてもかわいそう」だし、「ゲームにはまって勉強しなくなるのも嫌」だしと難しいところですね。現実的には、買い与えている保護者の方も多いのではないでしょうか。確かにゲームを介さないと友達同士でつながれないという状況もあるようですし、祖父母の世代が買い与えてしまうこともあるようです。絶対に持たせないということは難しいのかもしれません。大事なのは、ゲーム機を使う際のルール作りであると思います。全く自由に使わせているご家庭は少ないかと思いますが、始めに決めたルールがいつの間にかなし崩しになって、生活リズムが乱れるなどの困ったことにつながっていることも多いようです。
別な質問にも書きましたが、現在のゲーム機には、「はまってしまう」ような仕組みがありますので、決めたルールをあきらめずに守らせることがお子さんを健康に育てることにつながるといえるのではないでしょうか。
<質問22>夜更かし 小1男子です。11時頃まで起きていて、なかなか眠りません。どうしたらよいでしょうか?
<回答22>
学研教育総合研究所の小学生白書Web版(2013)によると、小学1年生の約6割は9時台までに寝ていますが、約2割は11時以降という調査結果があります。夜遅く寝るのは、朝の目覚めが悪くなり、元気に学校生活を送ることができにくくなるという点で心配なことではあります。「生活習慣」という言葉があるように食事や睡眠も「習慣づけ」が大事だといわれています。今は11時に寝ることが「習慣」となっているようですので、少しずつ早めていくようにしていきましょう。そのためには、次の中からできることを選んでやってみられることをお勧めします。
「早く寝るより、朝早く起きることから始める」「朝、外に出る」「朝ご飯をしっかり食べる」「テレビ・ゲームは時間を決める」「寝るときの決まり事(着替えや学校の準備など)を決めて実行する」などです。少しずつ、できるところから、でも粘り強く取り組まれていくとよいのではないでしょうか。
<質問23>学校のことを話さない 小6女子です。最近、学校であったことを全然話さなくなりました。友達や先生とうまくいっているのかなどとても心配です。どうしたらよいでしょうか。
<回答23>
ご心配ですね。ここでは、「高学年女子の心」について考えてみましょう。上越教育大学の赤坂先生によると、3年生頃まで、保護者や先生の言うこと聞いていた子も、高学年になるにつれ、友達が重要となり、特に女子は「閉鎖的な仲良しグループ」を作ることで、自分の居場所を確保しようとするといわれています。この仲良しグループの中では、「同じこと」が求められ、筆入れの中身やキャラクターグッズなどをそろえたりします。でも、仲良しグループが本当に仲良しかというとそうでもなく、グループ内での力関係がはっきりしている場合が多いようです。そのような中で起こる"無視"や"もの隠し"は外からは見えにくく、また被害者も訴えないことが多いようです。また、グループが団結して先生(特に男性教員)に反抗するといった行動もよく見られるようです。
ご相談のケースが、上の状態だと決めつけられないのですが、少なくともお子さんが元気がないことにはかわりありませんので、一度、学校の先生に相談されてみることをお勧めします。
<質問24>男性教師を怖がる 小4女子です。昨年まで男性教員を怖がり、女性の先生としか話しません。新クラスの担任が男性で、これからどうなるのか心配です。どうしたらよいでしょうか?
<回答24>
ご心配ですね。ここでは「怖い」という心理について考えてみましょう。例えば、男性(の先生)にまつわるきっかけとなるような出来事があった場合には、男性(の先生)を見るだけで、その時の体験や感情を思い出してしまうので「怖い」という場合が考えられます。また、その時の体験や感情を思い出さなくとも、「この男性(の先生)といると嫌なことが起きるのではないか」と先回りして「怖い」という場合もあるようです。いずれにしても、「怖いから避けている」というのは、自分の身を守るための安全策といえますから、「この先生は怖くないのよ」と言い聞かせるよりも、まずは「怖いんだよね」と気持ちを受け止めるようにしてあげてはいかがでしょうか。「怖い」という感情を否定してがんばらせることより、「男性(の先生)は、楽しい人も、優しい人もいるんだ」というポジティブな体験を積み重ねることが有効だといわれています。担任の先生には、お子さんの状況をしっかり伝えて、対応をともに考えていくのがよいと思います。
<質問25>兄弟で母を取り合う
小学生の子どもが3人います。私(母親)を取り合うようにケンカをしています。愛情不足なんでしょうか?
<回答25>
愛情が不足しているのではないと思います。人にとって「怒られる」ことより怖いのは自分への「無関心」だといわれています。最も関心を持ってほしい存在であるお母さんからの愛情を得たいという気持ちは、自然なことです。中には、本当は愛情がほしいのに、"よい子"を演じているために上手に甘えられないというお子さんもいて、思春期以降の自立していく過程で、不登校など困ったことが起きる場合もあるようです。(もちろん、不登校の原因がそれだけにあるという意味ではありません。)"甘え上手は自立上手"ともいわれているくらいで、ご相談のお子さんたちは、"甘え上手"で安心だともいえるのではないでしょうか。"甘え上手"なお子さんたちは、愛情を公平に受け取れているかに敏感な場合が多いようです。お母さんにとっては、忙しい中大変ですが、「愛情の量」よりも「愛情の配分」を意識されてみてはいかがでしょうか。
<質問26>母の悩み 自分自身(2児の母)のことです。いろいろなことが重なったのもあり、何もやる気が起きません。どうしたらよいのでしょうか?
<回答26>
お辛いですね。「いろいろなことが重なった」とありますが、子育て、夫婦関係、姑さんとの関係など家族のこと、近所づきあいのこと、経済的なこと、お仕事をされているのなら職場でのストレスもあるでしょう。今までがんばってこられて、かなり疲れていらっしゃるのではと想像します。お仕事や家事なども全く手がつかない状態というくらいやる気が出ないのでは、いろいろ不都合なことも生じているように思います。やる気のことに加えて、食欲不振やよく眠れないなどの症状が2週間以上続いているようであれば、心療内科などの医療機関に相談されることをお勧めします。お薬を飲むことに抵抗がある方は多いのですが、「根性でがんばりなさい」と言われても辛いだけですし、お薬で元気になれるのなら利用されてはいかがでしょう。また、辛い気持ちを分かってくださる誰かがいてくれるとうれしいですよね。「十分がんばってるよ。やる気が出ないのは、サボりじゃなく、疲れてるからなんだ。できることは手伝うよ。」どうか、独りで抱え込まずに、信頼できる誰かに気持ちを伝えてみてください。